229 avsnitt • Längd: 35 min • Veckovis: Måndag
マンガってどうやって作るの?漫画制作の裏側に興味がある人へ、プロがストーリーを作る時のちょっとした工夫など、知るとより深くマンガを楽しめる「ためになる気づき」をお届けしています!
語り手・ごとう隼平(マンガスクリプトDr.)/元漫画家・東京ネームタンク代表・コルクスタジオ編集長・京都芸術大学准教授 @goto_junpei
聞き手・ヨシキ/Web編集者 @moriri_nyo
The podcast 漫画家ためになるラジオ is created by マンガスクリプトDr.ごとう. The podcast and the artwork on this page are embedded on this page using the public podcast feed (RSS).
「漫画描いたことないけど、マンガ原作者になりたいんじゃ……!」というわけで、マンガはもちろんネームすら描いたことのない素人が、テキストだけで漫画原作者を目指す企画の第2週目です。
今回、応募シナリオを書く前にまずは「企画書」を書いてみようというわけで、あらすじの作成に取り掛かってみましたが……なんと1文字も書けませんでした!
理由はシンプルに「自分が主人公にやらせたいことが、何もない」から。外面的な目標を設定することはできても、キャラクターの心の内側から湧いて出るようなモチベーションが、何も思いつかなかったのです……!
というわけで、初心者がぶつかる壁として、「主人公の作り方」に思い切りぶち当たってしまったヨシキはここからどうすればいいのか。
具体的な企画どころか描きたいものすらない初心者の相談に対する、マンガスクリプトDr.ごとうの見事な導き方をぜひご覧ください!
【挑戦中の賞】
・週刊少年サンデー 第3回三大漫画賞「新世代原作大賞」
・締め切り:2025年3月31日(月)
果たしてヨシキは1文字ぐらいは企画をすすめられるようになるのか? 乞うご期待・・・!
「好きと得意は違うものであり、やるなら得意を伸ばそう」という考え方は、仕事や勉強における一種の定説ですが、マンガを描くうえでも同じように当てはまるのでしょうか。自分が「好き」であることはモチベーションの源泉であり非常に重要ですが、マンガとして描くなら「多くの読者に届くか」という面を強く意識する必要があります。その意味で、「得意」は自身が経験を重ねているからこそ解像度が高く、第三者からの評価が他者より高いものを指す場合が多いため、プロとしてこれからの連載やデビューを考えるなら、大きな武器となる可能性も。嫌い・苦痛のレベルのものを無理に描く必要はもちろんありませんが、好きは捉え方次第な面も強い要素なだけに、一度自分の「得意」について考えてみる時間をつくってみるのもおススメです!
「こういうマンガを描いてみたい」と思っているジャンルほど、なぜか描けない問題。趣味ならともかく商業で通用するものとなると、どうしても「好き」より「得意」なジャンルを見極めて描くほうが結果につながりやすい……。その理由は、これまで積み重ねてきた「取材量」、それに紐づく「感情の解像度」の違いが、得意とする演出パターンや伝え方といったアウトプットに直結しやすいからです。特に子どもの頃にマンガを読むことで固められた価値観は、大人になってからも無意識にベースとなっていることがほとんど。だからこそ、子どもの頃にあまりマンガを読んでこなかった人のほうが、描こうと思ったジャンルをそのまま描けるようになる傾向は強いように思われます。とはいえ、「好き」は範囲が広すぎ、誤った認識を持ちやすい言葉でもあります。自身をよく分析してみたら、そのジャンル自体が好きなのではなく、そこで描かれたある感情が好きなだけだった、ということも珍しくありません。子どもの頃からマンガが好きだったという人は、取材のストックという点で本来すごくアドバンテージをもっているわけです。だからこそ「このジャンル、好きなのに描けない・・・」と悩むのではなく、自分自身が解像度の高い感情を見つめ直すことで、好きであり得意である部分を見極め、伸ばしていくことをおススメしたいと思います!
この番組がコンテンツとして大きく欠けている要素、それは「企画」であり「挑戦」です。お悩みに対しての回答や雑談はあれど、定期で追いかけるべき取り組みが何も無いというのは、ずっと話している「応援される主人公・作品」像からほど遠い姿なのではないかと、ついに我々は気づいたのです……!というわけで今週から、ヨシキが「テキストのみでのマンガ原作者」を目指し、週刊少年サンデー 第3回三大漫画賞「新世代原作大賞」へ挑戦する企画を発信していきます!締め切りは2025年3月31日(月)かつてマンガスクリプトDr.ごとうがお世話になった「少年サンデー編集部」が審査員を担当という因縁(?)も含みつつ、果たして入賞することはできるのか。今後ぜひ注目いただきたい新企画の記念すべき一本目になります。乞うご期待・・・!
とにかくどんな物語に対しても、成長要素を求めてしまう「成長厨」の存在。特に編集者に多いのは、成長という要素がいろんな意味でわかりやすいからこそ。
出来なかったことが出来るようになるフォーマットは、それだけでカタルシスの型が成立するという大きなメリットがあります。読者に求められている面は勿論ありつつも、それ以上に「何も考えずに創りやすい」からこそ、重宝しているのかもしれません。
でも、全ての作品で成長要素が必要なわけではありません。ラブコメをはじめ、主人公たちが一切成長しないことで面白くなる作品だってたくさんあります。
だからこそ、自分の作品の「楽しい要素」がどこなのかについては、しっかりと考えるようにしましょう。逆にそこさえちゃんと書けていれば、きっと作品の魅力は読者に伝わるはずです!
マンガにおける「王道」とは何か。それを使いこなるようになると、なぜ成功に繋がるのか。意外とみんなぼんやりしている・誤解している「王道」について、その重要性と正体を徹底解説していきます!
まず王道と呼ばれる作品に共通して存在するもの。それは、主人公が望むもの・したいことを一緒に追いかけることによって、読者の心に生まれる応援の気持ち。ずばり「期待感」です。
読んで損をしたくない気持ちが異常に強い時代だからこそ、主人公が何をしようとする話なのかをしっかりと見せ、一定の安心感を読者に与えることが求められます。
だから王道とは、「主人公がそれをやり切るまで描き切りますよ!」という作者と読者の約束と言えるのかもしれません。
今回のラジオを聴き終えたなら、きっとそんな王道を使いこなせるようになっているはずですよ……!
漫画というエンタメがジャンルとして定着し、海外でも評価を得てから一定期間が経過したことで、アカデミックとして扱われる機会も多くなってきました。いわゆる伝統芸能と呼ばれる古典も、大半はかつて漫画のような位置付けだったエンタメが、時代の経過とともに現在の形へと変化していったものになります。 そんな漫画というジャンルが、その制作過程において他のエンタメと大きく異なっていた要素の1つが「編集者」という存在。共同制作者というわけでも、一部のパートを委託している関係でもなく、サポーターのようでもありつつ、それ以上に関門のような役割でもある不思議な存在です。 では、今後ますますクリエイティブ面でも思考面でもAIが幅広い役割を担ってくれるようになる世界において、編集者も確実に現在とは違う存在へと変化していく中で、逆に残る・進化させるべき要素とは何か。 それは作品に対する「目利き」の力、そして「心利き」の力なのではないでしょうか。データマーケティングのような「結果」からの類推・分析する力ではなく、未来を見る力、とも言い換えられます。 時代の空気やみんなは、いま何を求めているのか。担当する漫画家はどういう姿勢や価値観に基づいて作品を描きたいのか、将来どういう方向に向かうべきなのか。そういったものを見通せる力のようなものが、今後ますます重要になってくるのでしょうか。 今回は、そんな編集者の未来像について、だらだらとお話をしております!
大人の読者も非常に多い少年漫画ですが、本当の読者層である「少年」は何を楽しみに漫画を読むのか? 何に対してアドレナリンが刺激されるのか? その答えは、シンプルに「質量」そして「機構」なのではないでしょうか。 とりあえず何かデカいものが動いている、逆に小さいけど非常に質量が高いことを感じさせる何かが登場する等、質量の存在は他ジャンルより明らかに重視されているように思われます。 さらに、それらのエネルギーを生み出す仕組みや機構といったものが詳細に説明されているかどうか、世界観やディティールにしっかり落とし込まれているかどうか。 感情よりもまず先に、このあたりを上手に描けているかどうかこそが、少年の心を掴む一番のポイントになってくるのではないでしょうか。 そんなわけで今回は、少年のテンションは何によって爆上がりするのかについて、中年2人がじっくり考えていきたいと思います!
漫画を描き始め、ある程度努力したことで「良い話が描ける」までは到達できたものの、その先にある「お金を払ってでも読んでもらえる作品が描ける」の壁が、どうしても超えられない・・・。 このラジオを聴いてくれている方には、特に多いお悩みではないでしょうか。SNSなど無料で読まれる場所では「等身大」「普通」のエピソードなどがバズることもありますが、商業でいえばやはり「キャラクター」が全て。 キャラだけで売れてるように見える作品も、当然ながらいろいろな設定や計算がありますし、逆にストーリーだけで売れる作品なんていうものは、漫画ではほとんど存在しません。だからこそ、キャラの重要性と難しさを再認識し、壁を越えるためのキャラを創っていく必要があります。 そんなわけで今回は、「エンターテイメントの踊り場」の存在について考えていくとともに、本日より募集開始のコルクマンガ専科第11期で乗り越えたい壁を紹介&宣言していきます!
令和を迎え、漫画の展開や表現において感じられる大きな変化。それは「ネガティブ」な感情や登場人物が描かれる機会の減少、あるいは回収の速さではないでしょうか。例えば恋愛系漫画における恋のライバル的存在の役割・機能は、以前と明らかに異なるように思われます。 心の痛みや苦しさを感じさせる要素が少ないほど好まれる傾向は強まりましたが、例えば敵が強い系の困難はずっと変わることなく支持されています。こうした許されるストレス・許されないストレスの違いは、どこにあるのでしょうか。 タイパ意識や一気見する視聴習慣、SNS影響などいろいろな要因から、エンタメコンテンツで描かれるストレスへの許容性は下がっているように思われます。一方で、主人公の叶えたいことを阻害する強い要素がなければ、そもそも物語が成立しなくなってしまいます。 こうした矛盾にも近い状況においては、邪魔に見えない上手な邪魔の仕方のようなものが、漫画を描くうえでの重要なテクニックになるのかもしれません、 いまだ週間・月間といった「連載ありき」のサイクルが前提となっている稀有なエンタメである漫画コンテンツにおいて、最適なストレスの与え方とは一体どのようなものなのか? 今回も、特に答えのないテーマについてじっくり考えていきます!
漫画における「感情」は、主人公の願いや想いが叶わないほどに強くなります。だからこそ、願いや想いを叶えるための壁となる役割、あるいは気づきを与える存在として、主人公以外のキャラクターが必要になります。 もちろん主人公を描くだけでそれが表現できるなら問題ないのですが、物語を進める要素となる刺激や変化は、結局のところ「人間関係」に起因することが大半です。主人公以外の言動や行動があるからこそ、主人公のやりたいことも明確化できるようにもなります。 意識しなければならないのが、主人公の「能動的な感情」を描くことの難しさ。何か大きな事件が起き、それに対してのリアクションを描くところまでは簡単なのですが、それは「受動的な感情」でしかありません。 そして能動的に感情をあらわすためには、やはり自分以外の誰かとの人間関係が必要になるのです。 そんなわけで今回は、主人公と主人公以外の登場人物の関係性や役割・機能といった部分についてしっかり考えていきたいと思います!
愛や感動といった「嬉しい」感情を味わうために読まれる作品が多い中、異質な存在となるのが『ホラー』というジャンル。恐怖や酷い目に遭うことを目的に描かれるため、キャラクターの創り方も他と大きく異なってきます。 普通は主人公が何らかの「困難に打ち勝つ」ことを描くはずなのに、それをやってしまうと違うジャンルの作品に。主人公に愛情を持ちすぎてしまうと、途端にコメディや良い話風になってしまうという難しさも・・・ そんなある意味での「常識」が通用しないジャンルでは、何を意識し、何にこだわって描くのがいいのか? これまであまり考えてこなかったホラーというジャンルについて、今回はじっくり考えていきます!
「そろそろブームが終わる」と言われてから、すでに10年ぐらいが経過している異世界転生。もはや単なる流行のテンプレートではなく、スポーツやラブコメと同じく、1つの文化やジャンルとして確立されたフォーマットとして捉えるべきでしょう。 そんな「消えない」存在となった異世界転生、それに近しい分類となる悪役令嬢には、一体どういう魅力があり、どういう層の読者のどんな欲求を満たしてくれているのか。 根本にあるのは、読者の「自分は特別な何者かでありたい」という願望や、「本当の自分が認めてもらえない」という息苦しさであり、それを最もわかりやすい形で表現してくれるからこそ、異世界転生・悪役令嬢はずっと支持されているのではないでしょうか。 少年漫画に代表される「血統」「下積み」などは絶対に持ち得ないことがわかっているからこそ、多くの人の共感を集めているかもしれない「構造」と「役割」について、今回はしっかり考えてみたいと思います!
コンプレックスは漫画を描くための原動力になります。そこにはある種の「恥ずかしさ」が含まれており、普通であれば隠したくなる部分ですが、ぜひ思い切ってさらけ出してみてください。そこが漫画の難しいところであり、面白いところでもあるのですから。 一方で、担当の編集者がコンプレックスをさらけ出してくるのは、漫画家にとって良いことなのか悪いことなのか。さらけ出してくれる人のほうが信頼関係は深まるように思える一方、コンプレックスをぶつけ合うような人が担当者だと、自身が思い悩んでいる時などは制作が進まなくなってしまう危険も高まります。 結局は相性次第ということにはなってしまいますが、人間関係の問題はどんな仕事や創作活動においても切り離せない永遠の課題と言えます。 そんなわけで今回は、コンプレックスをテーマに「担当者として微妙な人」の共通項や、「担当者はどの程度さらけ出してくる人がいいか」について考えてみます!
訴求力とは、「キャラが立っている」かどうかで決まるのかもしれません。そしてキャラ立てに大切なのは、感情を表現することとあわせ、キャラが読者にわかってもらえること。 だからこそ、主義や主張、そして価値観を描くことが求められるのですが、急に「あなたの価値観はなんですか?」と聞かれても、すぐに答えられるものではありません。 そこでおすすめなのが、「物事を成し遂げる時、自分は何が必要か?」を考えてみること。例えば、無人島で生き延びるなら何が必要かなどをいろいろ考えていくと、何からの「系統」がきっと見えてくるはずです。 系統が異なる者同士は恐らく相容れない考え方の持ち主であり、系統がわかればその裏返しである「弱点」もハッキリしたものになる等、キャラクターの関係性や造型を設計するうえで大いに役に立つことでしょう。 このラジオでは今回、キャラの系統とは以下8つのいずれかに分類できるのではないかと考えたので、紹介させていただきます。 1)力・支配系 2)知性・合理系 3)愛・絆系 4)成長・自己実現系 5)自由・個性系 6)信仰・運命系 7)快楽・欲望系 8)秩序・集団系 キャラを設計するうえで、ぜひこちらを参考にしてもらったり、「こんな系統もあるのでは?」と考えてもらえたらと思います!
物語の最後をどう締めるかで、作品自体の印象・評価が変わってしまう可能性があります。読者にはクライマックスを存分に味わってもらったからこそ、読み切り作品では「少し距離を置く」ぐらいの締め方が最適になるでしょう。 例えば締めのパートであまり感情を伝えすぎてしまうと、読者の興味が近付いたままで終わってしまうため、中途半端な読後感になってしまう危険も。人物のアップなどで締めようとする場合も同様です。 逆に後日談的なものは、連載作品でサブキャラや未回収の話に読者が興味がある場合には有効ですが、読み切りでそれは難しいでしょう。 物語が終わった、という余韻を邪魔しないためにも、やはり風景や小物、ロングカットで締める無難な方法が結局一番いいように思われます。 ほか、今回は「質問まとめて回答会」として、全部で5つのお便りを紹介させていただいております!
漫画の1ページあたりの「コマ数」は、年々少なくなっている印象です。10年前ぐらいだと5,6コマが主流だったのが、最近では3,4コマぐらいになっているのではないでしょうか。 ただ、漫画構成の考え方が変わったわけでは決してなく、「1ページ単位から、見開き単位で5,6コマを使うようになっただけ」と描き手側は捉えたほうがいいでしょう。 最適なコマ数は閲覧の仕方によっても変わるもの。スマホが主流になったことで、シンプルに大きく画をみたいというニーズが強くなった結果でもあります。 それよりもコマ割りで大切なのは、「次のコマで何をやるんだろう」という期待値の持たせ方。期待させる→こうなる、の繰り返しで、読者の気持ちを惹きつける手法をしっかり身につけていきましょう!
「作家性」や「作風」といわれるような、その漫画家からしか感じられない「らしさ」とは、作品のどこに現れるものなのか。それは恐らくストーリーではなく、感情表現やコマ割りといった部分なのではないでしょうか。 例え全く同じ原作で描いたとしても、漫画家ごとに各々別の作品となるのは、やはり各々が持ち味としている表現が異なるからこそでしょう。 そう考えると、漫画家自身が描いていて得意な感情・楽しくなる感情をただただ極めていくことが、良いキャラクターをつくり、作家性や作風をつくっていくための正解と言えるのかもしれません。 だからこそ、描いていて迷いがあるときは、あらためて「描いていて自分が楽しい」を重視してみるのはいかがでしょうか!
演劇では多用される一方、映像作品ではほとんど使われることがない「モノローグ」について、漫画ではどのような場面で・どれぐらいのバランスで用いるのが適切なのか。結論としては、「作風次第」「演出次第」となります。 例えば少女漫画・少年漫画では心の声(=モノローグ)が用いられることが多いですが、それは読者にわかりやすく喜怒哀楽を伝えることが必要となるからです。 また、基本的に口に出して喋っていい状況ならセリフにしてしまったほうがいい一方、全てをセリフにすると不自然なレベルで喋りまくることになってしまう場合も。 さらに、セリフで喋らせてしまうと、喋った分だけ話を進める必要がでてきますが、モノローグなら思考しているだけで済ませることができます。実際に体験する出来事以外に、思考のみで感情を動かすことができるからこそ、少女漫画・少年漫画はモノローグが入りやすくなるとも言えます。 とはいえ、モノローグを漫画で用いるうえで本当に注意したいのは、あくまで「演出」であるということ。最初は全然無かった心の声が、途中からやたら入るようになってくると、やはり作品としての違和感が出てきてしまいます。 使うなら使う、使わないなら使わない、ぐらいで捉えるのが丁度いいかもしれません。 過去の名作なんかでも、モノローグの使われ方や表現される感情の濃淡なんかはバラバラですので、いろいろ読んでみた上で、作風が近いものを参考にしてもらえると良さそうですね。
漫画の企画を立てる上では「訴求ポイント」がよく重視されます。しかし本当に重視されるべきは、作者が何度描いても飽きない感情であり、読者も何でも読みたい感情である「訴求感情」ではないでしょうか。 もちろん作者と読者のその感情が交わる点はとても狭く、それゆえに相当尖らせないといけません。ただ、描きたい感情さえしっかり定まっていれば、その感情にあわせて状況も用意できるようになり、作品全体もブレることなくクオリティが高まっていきます。 ・・・と、理屈ではわかっていても、自身が描きたい感情を見出すことはとても難しい作業です。だからこそ、感情のパターンや分類法をたくさん学ぶことで、描きたい感情に辿り着くためのヒントや階段としているわけです。 今回は、そんな感情という存在にずっと着目してきたマンガスクリプトDr.ごとうが、ChatGPTと話し合った結果生まれた4つの感情の新分類である 「ギャップ」「緊張感」「美学」「自己投影」 などを紹介しながら、今年もあらためて感情の種類について考えていこうという回になっております!
漫画を描く以上は、モチベーションにしっかりと着火し、「これこそが自分の作品だ!」とずっとモチベーションを維持できるような作品を書くことが何よりも大切です。 そのために重視したいのは、まずは自身の中にある「感動」の気持ちを意識することです。漫画を描いていると、どうしても他者からの評価ばかりが気になってしまいますが、モチベーションは自分の内側から湧いてくるものです。 だからこそ、最近どんな小さな感動で何があったか、どういうことで心を動かされたか等、自分自分の心の動きに着目するようにしてみましょう。 それができるようになったら、「自分が描いてて楽しい感情」をもっと細かいレベルで見出していきましょう。その気になればけっこう出てくるはずですし、それを中心に物語を考えられるようになれば、きっとモチベーションは高まるはずです。 もちろん、それができなくて思い悩んでいる状態の人も多いと思います。そういう場合は、「好きだったマンガの好きだったシーン」をいくつか取り上げて並べてみてください。 きっと何らかの共通項が見出せるはずですし、その要素に対する感情をさらに濃くして描いていくことが、きっと良いモチベーションへとつながっていくはずです。 ・・・というわけで、2025年の「漫画家“ためになる”ラジオ」は今回から真の始動となります! 本年もどうぞよろしくお願いします!
明けましておめでとうございます!「漫画家ためになるラジオ」は正月三が日でも変わらず配信を続けておりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます! とはいえお正月ぐらいは特別編をということで、1月1日・3日の配信分については、なんと「ためにならない」話をお届けしております。 第二弾となる本日は、マンガスクリプトDr.ごとうにとって2024年のベストバイだった「タコの心身問題」という書籍を紹介させていただきます。 意識や思考、つまり心の声はどこからくるのか。そんなごとうの長年の疑問に対し、タコの生態や進化を紐解きながら、見事に答えてくれる一冊となっています。その感動・驚き、そして学びについて、ぜひ皆さんに共有したい…! その一心から、2025年の幕開けとなる正月三が日中に、どうしても話しておきたかった回となっています。 いつもと基本的には同じノリ・同じトーンですが、いつも以上にためになるパートは少ないどころかゼロの回となっています。もし「元旦から何かを学ぶぞ!」という素晴らしい意識でこられた方は、ぜひ過去アーカイブをご覧くださいませ……! (タコについてだけ、少し詳しくなれるかもしれません) というわけで、「漫画家ためになるラジオ」を2025年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
明けましておめでとうございます!「漫画家ためになるラジオ」は元旦でも変わらず配信を続けておりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます! とはいえお正月ぐらいは特別編をということで、1月1日・3日の配信分については、なんと「ためにならない」話をお届けさせていただきます。 第一弾となる本日は「こんな不思議な夢を見た」というだけの話。 荘子の「胡蝶の夢」のように、夢と現実の区別がつかない話と見せかけて、よくよく聞いてみるとただの怖い話のようにも思えて……? そんな信じるか信じないかはあなた次第的な話を、25年の第一回目としてお届けさせていただきます。 いつもと基本的には同じノリ・同じトーンですが、いつも以上にためになるパートは少ないどころかゼロの回となっています。もし「元旦から何かを学ぶぞ!」という素晴らしい意識でこられた方は、ぜひ過去アーカイブをご覧くださいませ……! というわけで、「漫画家ためになるラジオ」を2025年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
漫画はテーマが大事だという話を何度もしてきましたが、テーマとはつまり「伝えたいこと」になります。だからこそ、「皆はこうだと思っているはず」で考えるよりも、「私はこう思った。だが、それは本当にそうなのか?」と自分の考えを疑ってみるほうが、深く面白いテーマの掘り下げになるのではないでしょうか。 そしてテーマとは、作者自身の「主義」のことでもあります。そこで今回は、マンガスクリプトDr.ごとうが、「自分の本当の主義がわかる心理テスト」を紹介させていただきます! ぜひ紙とペンを用意して、挑戦してみてください。
【テストの手順】 1)今から5人の知り合いを思い浮かべ、名前を書いてください。ただし家族は除きます。
2)名前を書いたら、紹介文を1人ずつ、50文字ぐらいで簡単に書いてみてください。 ・・・書けましたか? 答えを知ってしまうと2度とできなくなるため、人生で一度しかできないこのテスト。ちゃんと書けたら、以下の答えを読んでみてください!
ーーー 【このテストからわかること】 手順1で誰を選んだかは、関係ありません。手順2で書いた紹介文の中で「共通している」要素。実はそれこそが、あなた自身が大事にしている「主義」を投影しているのです。 見た目や内面、ステータスなど、テストを受ける人によって共通要素はバラバラになるでしょう。だからこそ、その人自身が重視している要素が、このテストでは浮かび上がってくるのです。 ・・・どうでしょう、納得のいく答えになりましたでしょうか。人はみな、それぞれで見ているところは違うはずで、だからこそ人はそれぞれが面白く、たくさんのいい作品も生まれてきます。 皆さんがこのテストで何に共通項を見出したのか、よければぜひコメント欄で教えてくださいね! というわけで、2024年もありがとうございました!来年も1月1日から更新をしていますので、ぜひ2025年もご視聴よろしくお願いします!!
漫画家によって、描きがいのある感情、描くのが得意な感情があると思います。そういう感情に対しては、その解像度の高さゆえ、語彙なども豊富になり表現も多様化。逆に、そこまで解像度が高くない感情は、そこまで思い入れもなく、表現も画一化しがちなのではないでしょうか。 感情を分類する手法は昔から多く、参考になるものも多い一方で、そもそも感情は文脈でしか決まらないという主張もあります。ある状況に対して体の反応があり、それを良いものと捉えるか・悪いものと捉えるかは、本能的にではなく各々の経験や学習に基づいて決まるものであり、後付けのものでしかない。つまり、感情とは本能的なものでなく、インプットによって決まるという考え方です。 ある感情の上手な言語化、あるいは感情に対する多角的な視点の提示によって、強い共感や新しい気づきを得られる機会は漫画作品でも多いかと思われます。ただ、その背景にあるのは、描き手側のそれぞれの家庭環境など、個人に深く根差したこれまでの人生そのもの。 だからこそ、感情の捉え方や表現に偏りがあること自体が、漫画家の個性といえるのかもしれません。 という感じで今回は、そもそも感情分類というのは意味があるのか?感情とは何か?的な話を、延々と繰り広げております・・・!
読み切りが指定のページ数に収まらない、無理やり収めようとするとダイジェスト風になり、物語としてつまらなくなってしまう……。そんなときにお薦めしたいのが、「答えを描こうとしない」という書き方です。 作品内において「この問題は、こう考えたらいいんじゃないか」という主人公の気づきまでを提示する必要は、実はありません。あるテーマに対し「○○はダメ」という結論ではなく、「○○って何なんだろう」と問いを提示して終わる形でもいいのです。 そもそも難しい問題ほど、答えを出すまでには時間がかかりますし、何年も連載してようやく結論らしきものに至れるかどうかというテーマも珍しくありません。だからこそ、「問題提起」と「結論」のパートがあるなら、スパッと「結論」を削ってしまう方法が有効になります。 もちろん全体構成でいえば、問題提起2割・結論8割ぐらいの比率になると思いますが、作品としての魅力を保ちつつ、全体のページ数を抑えるならば「2割」ではなく「8割」のほうを削るほうが効果的です。 長いものを無理やり圧縮するより、短いものを膨らませたほうがしっかり描ける・・・そんな逆転の発想法ほか、漫画づくりのヒントをクリスマスにもしっかりお届けしたいと思います!
思わず誰かに語りたくなる漫画とは、一体どのような漫画なのでしょうか。
展開が気になる・キャラの魅力がある・考察のしがいがあるetc.
いろいろな要素が考えられますが、実はもっと本能的な何かに訴えかけている要素なのではないでしょうか。 例えば「これはヤバいものを読んでしまった……」という時、発見の気持ちとともに、「このヤバいものが存在していることを、世の中に伝えなければ・・・!」という謎の使命感に駆られ、我々は拡散を続けているような気がします。 作品の持つある種の「狂気」とも言えますが、計算のない本物の狂気こそが人の心をザワつかせる一方で、継続的に・何年経っても作品として安心して楽しめるのは人工的な狂気のほうだったりもします。 SNSでいう「拡散されやすい漫画」とは違う、本当の意味で「拡散される漫画とは何か」について、今回は考えていきます!
ヒット作やブームに対し「そんなのを楽しいと感じてていいの?」と斜に構え、楽しんでいる人を絶対に認めない姿勢になる方がいますが、そのマインドは創り手としてとても危険です。 むしろ何事も全力で熱狂した者勝ちだと捉え、たとえ一瞬くだらないと感じてしまうことがあったとしても、ちゃんと楽しめる精神性こそが重要になります。 もちろん、ものごとを俯瞰することが大切な場合もありますが、漫画を描く皆さんが俯瞰で捉えすぎてしまうようになると、何も楽しめなくなくなってしまいます。 俯瞰をやめることは、自分の心と向き合うことでもあり、案外キツい面もあるかもしれません。しかし良い作品をつくるためには、凝り固まってガチガチになるのではなく、常に心を震わせていくように意識して取り組んでいきましょう! ●番組内で紹介させていただいた新R25のインタビュー記事 ・「俯瞰するって、むしろ大人ではない」“エンタメ鑑賞タスク化してる問題”に佐渡島庸平が一石 https://r25.jp/articles/987160977894014978
指定のページ数に上手くまとめられない要因の1つに「読者へのサービス精神」が強すぎるのではないか、という考え方があります。作品内であれも見せよう・これも見せようと演出を入れすぎてしまった結果、ページ数が膨らみすぎてしまうというわけです。 また、読者を楽しませようといろいろな要素を盛り込んだことで、かえって「作品として一番面白いポイント」がぼやけてしまうことも。何の演出も入っていない企画・構成の段階、いわば素の部分でそれがどこにあるかについて、作者はしっかりと把握して描きすすめることが重要になります。 もちろん素の部分のままに近い状態で作品を仕上げて読者に提供することは、逆に高い技術が必要になります。しかしサービスはあくまでもサービスであり、それがメインになるようでは作品としていけません。 素の部分の良さを一層際立たせるサービスなら採り入れ、そうでないものは採り入れない。それがページ数のダイエットに効く一番の方法です!
漫画では読者が共感できるキャラづくりが求められますが、「こういうシーンなら、こういう行動やセリフになるはず」的なテンプレを意識しすぎ、薄い感情表現になってしまう場合がよくあります。また、共感を得ようといろいろ考えすぎた結果、逆に普通なら絶対そうはならないであろう描写になってしまうケースも。 だからこそ、漫画でキャラを描くときは、自分をそのキャラに憑依させたうえで「自分(=このキャラ)ならどう思うか」と考えるようにしましょう。 大切なのは、とにかく「なりきる」こと。今までこうやって生きてきたなら、こういうときはこんな行動をするはず、こんな感情になるのではないか、をしっかり想像することです。 そもそも他者が何を考えているかなんて、どれだけ人間に興味があったとしてもわかるものではありません。それゆえ、技術として感情を描くことを覚えてしまうのが一番です。 キャラになりきる技自体は、わりと誰でも簡単に身につけられるはずですので、この機会にぜひ皆さんも取り組んでみてください!
「王道の型」が強過ぎ、それ以外のパターンが難しい傾向が特に顕著なのが、少女漫画の短編読み切りです。何らかの変化や大逆転を描き切るのは難しく、逆境やすれ違いといったトラブルを乗り越える姿を描くほうが、見せ場としては確実に盛り上がりがあります。 それ以外があるとすれば、評価されていなかった人が実は正しいことをやっている、そしてそれが評価されるようになる、という勝利の型でしょうか。主人公自身には何の成長や変化もなく、もともと魅力だった部分を周囲に認識・発見してもらうというパターンです。主人公が自分らしさを貫く姿は、作品内の登場人物だけでなく、読み手にもその魅力を伝え、感銘を与えるようになります。 また、その姿は特に最初から好感度が高いものである必要はありません。大切なのは、とにかく一貫していること。それを見ることで読者は「やっぱこいつ最高だな」「好き勝手やってる主人公だけど、これは認めざるを得ない」という気持ちを味わうことができますし、それを楽しみに作品を読むようになるわけです。 漫画とは、主人公の何らかの成長や変化を伝える物語、というように定義されることもありますが、それ以外にも今回紹介したような勝利の型があること、覚えておいて損はないはずです。
エンタメを楽しもうとした場合、ネトフリやYouTube、各種アプリなど「そのコンテンツが置いてある場所」に、自ら能動的に観に行く必要がある時代となりました。SNSなどで話題にはなりやすくなった一方、それぞの場所を超えて横断的・普遍的に大ヒットするような作品は、むしろ生まれにくくなったようにも思われます。 「SNSでは濃いファンをつくろう!」と講座などでも言い続けてきましたが、それはあくまで「その場所」での濃いファンを満足させることを目的としたものであり、SNSの枠を超えたヒットとなると、まだまだ再現性をもって実践できるほどのノウハウが確立されているわけではなさそうです。 共感ツールのSNSでは、どうしても「あるある」が求められ、中長編のストーリーは不利になってしまいます。普通に毎週続きが楽しみにされているようなSNS連載は、正直そう多くはなさそうです。そんな中で、コンテンツをつくる・提供する側はどんな取り組みができるのか……。答えのでない課題について、今回も考えてみたいと思います。 そして「ためになる」お話を1つだけさせていただくと、クリエイターの皆さんは、SNSアカウント欄には「メールアドレス」を記載するようにしましょう。それだけで案件依頼の可能性がかなり高まります。たぶん、皆さんが思ってる何倍も……! その理由についても紹介しています。
最近の主人公は、いろんな意味で「普通」に近づいてるかも……? そんな風に感じたことはないでしょうか。能力や設定などは凄くても、こういうこと考えるのわかる、と思えるような、自分に近い存在としての主人公たち。リアリティ志向の作品は昔からたくさんありましたが、最近は「普通」への解像度が高すぎるせいか、リアルそのものに近づき過ぎているような印象もあります。 背景にあるのは、最初から子どもではなく大人相手を前提とした少年誌の読者設定のせいかもしれませんし、最近の「ズレ」を過剰に恐れる風潮のせいかもしれません。「夢」を見るのも語るのも、世の中の空気感や現実に即したものでないと、受け付けられなくなっているのでしょう。 夢を追いかける系ではなく巻き込まれ系の主人公が増えたのも、時代がどこへ向かうのかわからないという不安感の影響が大きいはず。海賊王になる!より、一日の終わりに美味しいごはんを食べたい、の願いのほうが共感を得やすい世の中で、次代を担う主人公像とは果たして・・・? そんな最近の空気感を今回は延々と語り合ってみます!
自分で描いたキャラを自分で愛せることができたら、漫画制作の時間はとても素晴らしいものになります。ただ、オリジナルでそれほど魅力のあるキャラを生み出すのは、当然ながら簡単なことではありません。 そこで皆さんにおすすめしたいのが、既存作品の中で自分が一番愛してるキャラクターの「どこの部分に最も惹かれているか」を分解してみる方法です。 例えば、髪型を変えたら惹かれなくなるというのであれば「髪型」を重視していることになりますし、関係ないということであれば、髪型は特に自分の中では萌えポイントではないということに。 そうやって、何が互換可能で、何が譲れない部分なのかを、見た目・仕草・考え方など、あらゆる点で検証してみましょう。その結果見えてきた「譲れない部分」だけを残し、それ以外を全部変えてみたら・・・。それはもう自分オリジナルのキャラになるはずですし、元のキャラを超えた魅力の持ち主になっている可能性さえあるわけです。 あわせて、自分がこれまで好きだった既存キャラの遍歴から、「どこが共通していたか」を探ってみるのも、きっとヒントになるはずです。そこで出てきたいくつかの共通項をもとに、それらの要素を完璧に満たした自分オリジナルのキャラを作成してみましょう。 それができたら、次は舞台や設定、能力・・・と、そのキャラが活躍できる要素を整えていくことで、最終的には自分で描いて自分が一番愛せるキャラとなっていくはずです。 いろいろ組み替えてみて、ダメだったらまた再考するという作業はきっと楽しいと思いますので、キャラづくりにお悩み中の方はぜひ一度お試しくださいませ。
世界観や設定などを創るのが大好きな一方、キャラの魅力やストーリー等がどうしてもイマイチになってしまう……。そんな方におすすめなのが、「描きたい世界の中にある問題」について描く方法です。 「パッと見は上手くいってるけど、実は問題がある・・・」という世界の中で、主人公はその問題に対してどう立ち向かっていくか。それを描くだけで魅力的なストーリーは成立します。 そしてその問題は、実は「解決」をする必要はないのです。世界観を賞賛されるような名作も、その多くは「主人公がいかにその世界の問題に立ち向かっていくか・その世界の中でどう生きるか」をテーマとしているだけで、世界そのものを変えるというような描かれ方はしていません。 世界が抱える問題の内容については、現代の課題をその世界の何かに置き換えつつ、少しでいいので誇張をしてみましょう。それだけでもう十分なリアリティがでてくるはずです。 世界観や設定ならどんどん思いつく・拡張できるのだけど、どうもストーリーにまで落とし込めないという方、ぜひ試してみてください!
「主人公のキャラをもっとわかりやすく・個性的に」というアドバイスを受ける機会は多い一方、等身大・普通の人を主人公として描きたい場合、その特徴が物語のノイズになってしまうと懸念する人もいるのではないでしょうか。 基本的に漫画の知名度=キャラの知名度というところがあり、特徴がつくほど、キャラが勝手に動いて物語が進んでくれるようになっていきます。一方で「普通の人」は動いてくれないので、物語を進めるためには「出来事・状況」を特徴的にする必要があります。 普通の人の普通の状況は物語として成立しないので、例えばピンチな状況を描くのであれば、自分が思う何倍もピンチにしてみる。それによって物語の魅力が増し、キャラも立っていくようになるでしょう。 また、出来事ばかり描いてしまって感情が描けない、という人は、一度「感情だけ」を描いてみましょう。喜怒哀楽のそれぞれで、大袈裟なぐらいに描く。そうすると、思ったより「感情が出ていない」ことに気づくはずです。 まずは描くべき感情を決め、それを引き起こすために出来事を逆算して組み立ててみてください。そのうえで、そこに感情を混ぜてみると、いろんな表情が描けるようになり、同じストーリーでも全く違った作品となっていきます。 「感情を表現するために出来事を描く」という感覚を掴み、そこで感情ブレンドをやってみると、きっと楽しく漫画が描けるはずです! そんなわけで、今回で(たぶん)1周年を迎えた「漫画家ためになるラジオ」。2年目も、どうぞよろしくお願いします!
自分が読者に抱かせたい感情と、実際に読者が抱く感情がズレてしまう……という悩み。とはいえ感情の受け取り方は人それぞれであり、全く同じものをみていても、真逆の感情を抱くことだってあるのが人間です。 だからこそ、重要になってくるのが「作品内でのリアクション」です。この登場人物は一体どういう位置付け・キャラなのかは、作品内のオーディエンスのセリフや反応などで説明されているケースが実はほとんどではないでしょうか。 キャラクターの描き分けなんかにも限界がある以上、画ではなく文字で示すことも、非常に重要なアプローチなんです! ・・・という感じで、今回は久しぶりの「大お便りお答え回」として、 ・漫画の副業はどう申請すればいい? ・SNSフォロワー少ないけど大丈夫だろうか ・負の感情とエンタメ、どう両立させられるのか ・ストーリー作りが苦手で、いつも話が収束しない などなど、全部で6つの質問にお答えさせていただいております! 皆様、いつもお便り本当にありがとうございます! お便りお答え回は今後ともどんどんやっていきたいので、引き続きどしどしとお便りをお寄せくださいませ! よろしくお願いします!!
漫画を描くうえで「自信」はどれぐらい必要なのでしょうか。自信を失うと全く描けなくなってしまう人がいる一方で、どんな状態でも描ける人・むしろ描くことで満たされる・状態が回復する人も、同じくらいいるのではないでしょうか。 前者は描く動機が「他者からの評価」、描くことが手段という人。後者は「描きたい!という気持ち」自体が動機であり、描くことが目的という人。 そんな風に分類もできると考えると、「とにかく自信をもって描いてください!」というアドバイスは、全員に共通するものではないということに。成長へのアプローチとしても、前者は「成功体験」、後者は良いツールや仲間といった「環境」こそが重要になってくるのかもしれません。 一方で、描いた作品を他人にみせる場合は、自信ではなく「耐性」の問題となってくるなど、一括りに「自信」を軸として考えてしまうこと自体が、いろいろな認識齟齬の原因となっている可能性も。 そんなわけで今回は、マンガスクリプトDr.ごとうが、これまで自身の講座や動画でずっと訴えてきた「自信」の重要性を、そもそも疑い直してみる、という貴重な回になっています(笑)
画力をアップさせる練習の1つに「模写」があります。プロの漫画家の画という完成形に対し、自分はどこまで正確にそれを再現できる技術があるのか、比較しながら学べるいい機会となるでしょう。 さらには毛先の細かい描写、パーツの配置など、ただ漫画を読んでいるだけでは絶対に気づかないようなプロの技術やこだわりを再確認できる機会にもなります。 そして取り組みの際、特に意識してほしいのが、線のストロークの綺麗さと速さの再現です。プロと同じ速さでサッと描き、同じぐらい綺麗な線が引けているかどうか。線のつなぎ目をみて、同じところまで一筆で弾けるかどうか。タッチの差をぜひ意識してみてください。 一方で、模写と似てはいるものの、効果という点で疑問があるのは「画をなぞる」という練習方法。漠然と線をなぞるだけでは、単なる作業となってしまって何も身につかない可能性も……。練習は、目的意識をしっかりもって取り組みましょう!
漫画のコマ割りは、大きく2種類に分類されます。1つが、読者に興味・関心を持たせるコマ。そしてもう1つが、読者の発見・理解・解放をもたらすコマです。 読者感情としては、「どなるんだ?」という期待と、「こうなるんだ」という納得や意外性。緊張と緩和、フリとオチとも言い換えられますが、これらのコツさえ掴めば、どんなストーリーでもこの繰り返しで読み進めさせることができるはず。 バランスとしては、フリが2か3に対して、オチが1、ぐらいでしょうか。フリが続きすぎると引っ張りすぎの印象になりますし、1対1では早すぎることに。 今回は漫画の構造を理解するうえで大切な2種類の組み合わせを身につけるため、「読者に語りかける漫画」という新感覚すぎる手法への挑戦の感想も含め、しっかり解説していきます!
画力を向上させるための日々の練習に励んでいる人は多くいますが、気になるのが「回数」や「時間」ありきでの取り組みとなっていて、「満足いくまで仕上げる」ことを優先していないのではないかという点。 習慣化を信仰するあまり、ゴールに辿り着くことを放棄していては、「できた!」という感覚を自分で掴むことができません。たしかに最初は時間がかかるかもしれませんが、まずはできるまでやってみる。そして、できるようになるまでの時間を減らすことを目指す。それが正しい順番ではないでしょうか。 筋トレなどのように習慣化そのものを目的とするのではなく、上手くできたという感覚を体に染み込ませることが、反復練習の本来の目的のはず。逆に、上手くできていない感覚をいくら繰り返しても、その技術を身につけることはできません。 もし画力向上のためのトレーニングの成果に頭打ちを感じている方がいたら、ぜひこの機会に見直してみましょう! なお、現在コルクスタジオで取り組んでいる画力向上のための課題は以下の6つになりますので、参考にどうぞ。 1)線の強弱 2)ペンの抜き 3)ペンの入り 4)円(綺麗な曲線を描き、つなげる) 5)正確な楕円 6)立方体
他の人から見れば、「そんなことで悩まなくても」「もっと気軽に考えたら?」と言われそうなことでも、本人的にはどうすればいいかわからないダメ出し・やり直し依頼は数多くあると思います。 編集者から否定(ダメ出し・やり直し依頼)を繰り返されてしまうと、自分の中でどんどん迷いが生じてしまい、余計わからなくなってしまう事態に。そんなときに意識したいのが「ユーモア」の気持ちなんですが、それも余裕があってこそのもの。否定されることを恐れている状態では、自信も持てません。 そんなときにおすすめの方法は、ひとまず案をたくさん出すこと。本来必要なのは作者である自身の言葉なのに、正解探しのモードになってしまっているようなら、とりあえずたくさん出してみましょう。 心構えとしておすすめなのは、自己肯定まではしなくていいので、自己受容をすること。できてない部分はできてない部分として認め、そんな自分をまずは受け入れてみることが大切です。 いずれにしても、自分を否定してしまっているような状態では、読者に向かって投げかけられる言葉も生まれません。自分を否定せず、余裕を取り戻せるような行動・心構えを意識していきましょう!
作品内におけるキャラクターや世界観、関係性などを重視する漫画家ほど、そこに「自分」という存在が介在することを良しとしない部分があります。 描いているのはもちろん自分ですが、その世界が在ること自体に喜びや嬉しさを感じている以上、実は作者である自分こそが「一番その世界から消したい存在」と言えるのかもしれません。 では作者=自分とは一体何か、という問題が生じるわけですが、強いて言えば「観測者」という位置付けでしょうか。作者でありながら、目線が入ってしまうと作品世界の純度が下がってしまうため、不在であることを必要とされる不思議な存在。作品自体、本人の意思が介在しないまま自動で筆が走る、いわゆる「神の手」の状態になることが、漫画家としての理想と言えるのかもしれません。 これまで「作品を届けたい相手が明確に存在しているタイプ」と「作品を届けたい相手が自分というタイプ」の2種類に漫画家は分けられるという話を繰り返してきた本ラジオですが、「届けたい誰かが明確に存在しているわけではないし、自分に届けたいわけでもない」という疑問を抱いた人もいたのではないでしょうか。 今回はあらためて「作品づくりにおける自分とは何か」「自分に向けて描いているとは、結局どういうことか」といったテーマについて、考えてみたいと思います!
好きの反対は、嫌いではなく無関心。昔からよく言われる言葉ですが、SNSや漫画サイトのコメント欄に書き込まれる「ふーん」や「だから何?」といった感想は、果たして“嫌い”なのか“無関心”なのか。 もしかしたらその何れでもなく、“羨ましい”の気持ちの表れなのかもしれません。その意味では、あなたの投稿した漫画は、読んだ人の感情を動かしていると言えます。 一方で、作品を読んだ相手は「わざわざ書き込む」というアクションを取らざるを得ないほど感情がネガディブに動いていながら、「ふーん」という最上級に薄い反応をしていると見ることもできます。 そう考えると、「ふーん」という書き込みは、「一番言わせてはいけない悪口」なのかもしれません。今から作品を読んで作者の悪口を言うぞ!と構えていた相手が、特に具体的な悪口を思いつかなかった場合に、一応で書いた悪口。その点では「無関心」に限りなく近いといえるでしょう。 作品づくりにおいて、読者のネガティブな意見を気にする必要は、もちろんありません! 一方で、物語は読者の感情を設計することが大切というところから、「この読者は、なぜこの言葉を書いたのか」を考えてみることも大事ですよねという回になっています。
ストーリーが上手くまとまらないと感じてしまうような場合、無意識に「漫画は、主人公が成長する物語でないとダメだ!」という想いに捉われ過ぎてしまっているのかもしれません。 描き手はもちろん編集者にも多い「成長ストーリー」至上主義ですが、キャラの魅力や関係性などを中心に描きたい場合は、成長することでそれが失われてしまう可能性もあります。 主人公が何かを得るまでを描きたいなら成長物語が最適ですが、最初から主人公が至高・ただただやりたいことをやり切るだけの物語だってたくさん存在するわけです。 ストーリーで無理にロジックを組みすぎることなく、自分自身が最高にワクワクするような作品を、ぜひ描き切ってもらいたい・・・! ということを、皆さんにあらためてお伝えしたい回になっています。
「いきなりやってくる人は、いきなり去っていく」。SNSなどで偶然に近い形で作品を読まれる機会が増えた現代においては、漫画家も心に刻んでおきたいユーザーとの向き合い方・心構えかもしれません。 他者の声を聞く機会が増え続けるからこそ、自己評価の高さ・低さ、自己愛の強さ・弱さなどがメンタル面はもちろん成長面で大きな影響を及ぼすことになりますが、 ・自己愛は強いが、人の意見を聞く ・自己肯定感は低いが、前向き・前進する力がる のどちらかであれば、きっと上手くいくのではないでしょうか。 このほか、「描くことを習慣化するための意外な方法」など、今回はXでたまたま見かけた漫画家の皆さんのためになりそうな投稿をただただ紹介し、考えていく回となっています! ▼今回紹介させていただいた書籍 『20代で得た知見』(著者・F/KADOKAWA) https://www.kadokawa.co.jp/product/322002000317/ ーー引用ーー 地下アイドルグループを結成して三年目の男の子が知人にいます。彼らは週に何度も何度もステージに立つ。熱狂的なファンがまぎれもなく彼らを生かしている。 そんな彼らに二十代で得た知見ってなんですかと訊ねました。するとそのうちの一人が「いきなりやってくる人は、いきなり去っていく」と答えました。詳しく訊くに、ものすごい愛をいきなりぶつけてくる人はそれが同じ量帰ってこないとわかるとすぐにいなくなる、その度に自分は傷つく、と言うのです。 すると別のメンバーがこのように抗弁する。「全力で愛してるって叫ぶことは、全力で愛してくれって意味だ。つまり自分は愛されて当然だと思ってる。自己愛が超強いってことなんだよ」と、ナイーヴな彼に訥々と語って聞かせました。 ーーー ▼今回紹介させていただいたXの投稿 https://x.com/kiichirosjp/status/1850458050261602728
漫画の賞に応募する場合、提出シートにはいろいろ書かなければいけない欄がありますが、「描きたかったテーマは?」「この作品のコンセプトは?」など、改めて問われると思わず悩んでしまうような質問項目も。 一般的にはテーマとは「伝えたいこと」、コンセプトとは「作品の中核となるアイデアや着想」などになりますが、問いに答えようと悩みすぎるのも勿体ないことに……。 そもそも漫画賞は作品を評価するためのコンペですので、テーマもコンセプトも、ざっくりと「どんなことやりたかったのか?」で大丈夫だと思います。 作者であるあなた自身の心の叫びのようなものを書き込み、あとは作品で勝負! 応募はそれで十分ですので、逆にテーマやコンセプトについて、作品構想時にあえてしっかりと考えてみる、みたいな取り組み方もいいかもしれません。 そんな意識してるようでしてない「この作品を説明するなら?」的問題について今回は考えてみました!
漫画制作はよく「完璧を目指すより、完成させることが大切」と言われますが、作品に対する自分自身のやる気や熱意だって大切です。完璧と完成、成果につながるのは一体どちらなのか……? 最終的な正解はやはり本人次第となってしまいますが、ネームまで完成させながらペン入れが完了しないのは、自分の中でもどこか微妙に思っているところがあるからではないでしょうか。 最後まで完成させることで学べることも多い一方、微妙に思っているからこそ制作が進まない状況になってしまっているのであれば、次へ次へと進むほうが、結果として「量」の担保につながるはず……! そんなわけで、漫画制作において、特にまだ練習中・下積み中という人ほど、「量」を確保するためにあえて「完成」に執着しなくてもいいのでは?という説を本ラジオでは提唱します。 しかし、これには異論・反論が当然あると思いますので、「そんなことないのでは?」という皆さま、ぜひご意見をお願いします!
「世界のどこかにある何かを集めるために、仲間と一緒に旅に出るストーリー」は、アクションやファンタジーの王道であり、誰もが一度は考えたことがある設定ではないでょうか。 ただ意外に難しいのが、何を集めるのかという問題。バラバラのジャンルのものを集めるのは収まりが悪いですし、大きいものだと保管が大変そう。さらに刀や魔法書なんかだと、収集よりも「使用すること」が前提となってくるため、漫画の方向性がやや異なったものになってしまいます。 読者からみれば、やたら数があるもの・全体の個数が明かされていないものは発見や獲得への興味が薄れてしまいますし、自分も欲しいと思えるようなフォーマットであってほしいものですよね。 そうやって考えれば考えるほど、「ドラゴンボール」の設定は、非常に秀逸だったと思えてきます。歴史的な物語は「唯一」のものを求めて旅立つフォーマットが主流だったのに対し、「収集」の概念を普及させたのは、もしかしたら「ドラゴンボール」だったのかも・・・? 今回はありそうで意外にないかもしれない収集のフォーマットについて考えていきます。皆さんも、もし何か「これだ!」という作品事例があったら教えてくださいね!
どんなものを描けばいいかわからない、自分が何を描きたいのかわからないと悩んでいる時、他者から言われて一番困るのが「自分の好きを描けばいい!」という王道ど真ん中のアドバイス。 それが正しいだと自分でもわかってはいるが、どうやったらそれが見つかるのかがわからないから悩んでる……。そんな経験をお持ちの方も案外多いのではないでしょうか。 ある種の精神的スランプのようなもので、人によって脱出方法は異なってくるのですが、今回は以下5つの方法をご紹介してみます。 1)〆切を設ける(それを必ず守る) 2)お題を設定する 3)自分が好きな漫画をいくつか挙げ、好きの共通項を見つける 4)漫画を一旦休み、チートデイを迎える 5)自分にしか読ませない、自分語りの自分主人公漫画を描く 描きたいものが湧いてこない……!となった際は、ぜひこちらを試してみてください。きっと「自分が描きたい漫画」を見つけるヒントになるはずです。
キャラクターを描くのは好きだけど、話の一番盛り上がる部分であるクライマックスを構成するのが苦手……。そんな方にぜひオススメしたいのが、自分が描こうとしている物語を、以下の構文に沿って四枚の紙芝居をつくってみる方法です。 1)こういう主人公が 2)こういう状況になっちゃって 3)こういうことを乗り越えて 4)こういうものを手に入れる この四枚でしっかり盛り上がる内容になっていれば、クライマックス問題は解決です。特に3)はクライマックスを引き立たせるための重要な要素であり、作品としての説得力を持たせるパートとなるのでぜひ確認を! なお、こちらは現段階ではまだまだ「仕組み」の解説にとどまっており、「コツ」を紹介するところまでには落とし込みができていない、というのが正直なところです。 皆さんも、ぜひこのラジオの解説など参考にしながらお試しいただき、これは!というロジックが組み立てられたら、ぜひ教えてください!
感情を描くことが大事なのは理解しているが、告白シーンなどは2人しか登場人物がおらず、アップか引きかぐらいしか変化がない…。インサートを入れるにも限界がある…。 そんな「漫画としての画が持たない」問題にあたった時こそ、過去の名作から「構図」を学びましょう! ストーリーやセリフは覚えていても、意外と覚えていないのが、どういう構図で描かれていたかという点。 感情の描き方を知ることとは、つまり感情表現のストックをどれだけ持っているか。場所と小物を使う、セリフではなく行動で描く、そして構図を変化させる…… いろんな漫画をみて、ぜひ自分の中にストックしておきましょう。 その他、 ・肩こり対策でおすすめなのは、フィットボクシングと針! ・パースを学びたいなら、立方体を描けるようになるよう練習しよう! ・実在する知り合いなどをモデルに描くときは、本人っぽさを残す意識を! などなど。 今回の配信では、これまでこの番組に寄せられた質問のうち6個まとめて一気にお答えしていきます。あなたが感じていた疑問に近い質問もあるかもしれませんので、ぜひお聞きください! また、「1,2歳ぐらいの歳下ヒロイン最弱説、後輩キャラ全敗説」については、詳しい方のご意見をいただけると大変助かります……!
職人の世界などでは定番の「背中を見て学ぶ」という学びのスタイル。昔はその世界に飛び込まなければ何もわかりませんでしたが、今はYouTubeなどでいくらでも学習動画などのお手本が得られる時代になり、ある種の無駄や非効率性が指摘されるようにもなりました。 もちろん業態その他の背景から事情や必然性は大きく異なるわけですが、学習教材動画が豊富にある漫画家の世界においては、さらなる学習のアップデートが望まれます。 大量のデータが溢れているからこそ、必要なものを効率良く取り入れることが重視される時代においては、「1から10までのHow To」より「プロがプロとして作業に取り組んでいる様子を知る」ことが最適な学習方法となるのかもしれません。そして、「自分自身の作業を動画で記録し、自分を知る」こと。 自分自身のフォームをチェックし、理想の型と比較して何が違うかを理解することでパフォーマンスを向上させていく手法は、スポーツの世界では常識となりました。 もしかしたら漫画家も同じようなメソッドで、飛躍的な成長を遂げられるようになるのかも・・・?
そんな「これから」の学習方法について、長年漫画講師業に従事してきたマンガスクリプトDr.ごとうが考える回になります!
漫画は基本的に“好きのお裾分け”の気持ちで描くことを推奨しています。ただ、そう聞くと「好きの感情以外で描かないほうがいいのか?」「怒りや恨みなどのネガティブなもの、バッドエンド的な展開などはダメなのか?」と疑問に思われる方も多くいらっしゃいます。 もちろん仕掛け次第で物語はどんな方向にも転がるものであり、キャラもそれに応じて変化するもの。その大前提で意識したいのが、「好きの範囲は意外に広い」ということ。 例えばスリリングな刺激を与えたいという欲求、ものすごく鬱展開な作品から新しい価値観や気づきを提供したいという気持ちも、立派な“好き”の1つ。名作と呼ばれる作品には、何かしらクリエイター側の「執着」が感じられるはずです。 その他にも作品としてはどんな表現だって有り得るわけです。重要なのは、それを読者が楽しいと受け止められるかどうか。人間は、意外“すぎる”ことを受け入れることができません。 だからこそ、意外が気持ち良さに変わるような予兆、丁寧な仕掛けや伏線などが求められます。読者を裏切る、あるいは強いメッセージを伝えるような展開に持っていく場合は、とにかく「わからない・・・」という感想にならないよう強く意識して作品を描いていきましょう!
漫画の神様・手塚治虫先生。その作品は、後進のあらゆる漫画家にとってのバイブルとなっています。しかし、代表作の1つとして挙げられる『火の鳥』だけは、いわゆる「物語の型」から外れた異質な作品ではないかとマンガスクリプトDr.ごとうは考えます。
世界観をテキストで何ページもかけて説明するあの導入パート、キャラの魅力ではなく「世界」そのものを読ませる構成、誰にも再現不能なストーリー展開・・・。
ディティールを書き込んでいるというわけでもない独特のタッチで描かれながら、なぜこうも読者の興味を惹きつけるのか。
そして先生自身、一体どんなモチベーションによって、あの世界を描き続けることができるのか。まるで何かに取り憑かれて描かれたとしか思えないような、不思議なパワーを感じずにはいられません。
商業エンタテイメントとしての漫画を確立させた存在でありながら、その法則や仕組みなどを軽々と超えてしまった作品も生み出していた手塚先生。
ひょっとすると、手塚作品=教科書という無意識の思い込みがあるがゆえ、早い段階で『火の鳥』に衝撃を受けた人ほど、漫画家への道を狂わされてしまった可能性すら考えられます。
そんなわけで今回は、『火の鳥』の持つ不思議な魅力について、マンガスクリプトDr.ごとうがひたすら考えてみる雑談回となっております。
読者が課金して続きを読みたくなるような漫画を制作するうえでは、ある種の優位性を刺激するような企画が求められます。しかもビジネスモデル的に序盤からそういう仕掛けが求められるため、じっくりと感情を描いたり伏線を回収したりするような漫画を得意とする人ほど、不向きということに。 では、そういう人がWebtoonで課金ポイントを早めに設定できそうな企画とは、一体どんなものか。その1つは、解放欲求を刺激する企画ではないでしょうか。
読者が「これはキツい…! でも、目が離せない…!」となってしまうような設定をつくり、そのキツい状況から解放されることで救済欲求を満たし、ハッピーな気持ちにさせる漫画です。 どんな状況が主人公、つまり作者自身にとってキツいかを考え、「その状況だと、こんなことができるよね」という発想から制作する方法なら、従来のWebtoonの形式が苦手な人にもチャンスがあるかもしれません。 もちろん、読者の苦しさに訴えかけて課金させるというのは、従来の手法に比べて難しいチャレンジであることは間違いありません。
それでも、いま課金ポイントの上手な設定ができず、Webtoonの企画に苦戦している人にとって、きっと何らかのヒントになるかも・・・?! そんな企画のタネを提供する回となっております。
見た目の可愛らしさは、キャラクターの好感度を左右する重大な要素の1つ。一方で、エグさを感じるようなデザインでも人気の高いキャラは数多く存在します。 では、可愛らしさの無い、パッと見の好感度がマイナスからのスタートとなるようなキャラは、何が要因で好感度が高まるのか。それはずばり「笑わせてくれる」「ハッピーな気持ちにさせてくれる」ことではないでしょうか。 ギャグ漫画の強烈なキャラがわかりやすい例ですが、ストーリー漫画でもお笑い役的なキャラは、デザイン面のみでいえば「可愛い」とは程遠いものであっても、好感度は高まり、結果として「キモ可愛い」「ダサ可愛い」といった評価を後から得るようになります。 そんなわけで、キャラの好感度と見た目の相関について考えてみた今回。作風的に「可愛らしくみせよう」といった発想が薄い漫画家にとっても、ヒントになるかもしれませんよ!
「自分が描いた作品を、誰に届けたいですか?」という問いに対する答えによって、漫画家は2つのタイプに分けられるのかもしれません。その答えとは、届けたい相手は「自分」なのか「自分以外の誰か」なのか。 このラジオでは、「漫画家のタイプは、自分の大好きなものを描く『萌え型』と、自分の中にある伝えたい気持ちを描く『排出型』に分けられる」という話を何度も紹介してきました。あわせて、前者が「みんなに自分の好きを見てほしい!」、後者が「自分の気持ちを知ってほしい!」という創作モチベーションこそが、その違いだと考えてきました。 しかしそれ以上に、もっと根源的な違いとなる部分が、前者が「自分」、後者が「自分以外の誰か」という「作品を届けたい相手」にあるのではないでしょうか。 あなたが作品を描くことによって、変えたいのは自分の気持ちなのか世界なのか。今回は、そんな大きなテーマについて考えていきたいと思います!
作品の面白さが決まるという内容的な面はもちろん、フォーマット的な面で「世界観」が果たす役割は非常に大きなものがあります。なぜなら、能力やキャラクターは、それがどういう世界で存在しているかによって魅力が左右されるからです。 絵柄やキャラ造型の巧みさは同じはずなのに、大ヒット作を描いた漫画家の「次」の作品が苦戦しがちなのは、この「世界観」ごと違う作品を描いているからではないでしょうか。逆に、ヒット作を連発する先生の作品は、基本的に同じ世界観の中で展開されている物語なのではないでしょうか。 世界観とは描き手のみている世界であり、人格であり、宇宙。それを個人の中で複数創り上げるというのは、一部の例外を除いてそもそも無理な試みのように思えます。新人かベテランか、読み切りか連載かなどの差ではないはずです。 だからこそ、「自分がつくることができる世界観は1つだけだ!」と割り切り、作品ごとに違う世界観をつくるのではなく、1つの世界観を磨き込む・作り込んでいくよう取り組んでみるのはどうでしょうか!
アニメと漫画で表現が大きく異なってくる1つが、アクションシーンの描写ではないでしょうか。一連の動きの中で、何を描いて・何を描かないかという取捨選択の基準が、アニメなら最初のカットと最後のカットを重視するのに対し、漫画は途中の印象的なカットを重視しています。 アクションの流れにおける決めポーズ的な1コマ、映える1コマを描くために、前後のコマも描いて・・・というようなつなぎ方をしているとも言えるでしょう。 ただ、漫画を描くうえで難しいのが、そのための最適なボリュームの判断。アニメは動きの美しさ・滑らかさを表現するためのセル画を増やして圧縮するほど「神シーン」に近づきますが、漫画で動きを描きすぎると間伸びしてしまいますし、省略しすぎると紙芝居みたいになってしまいます。 上手く表現するためには、動きそのものより、ある種の期待感を持たせるような内容面の工夫が必要なのかも・・・? そんなわけで、表現自体は非常に多い一方、意外になかなか最適解が説明できない「アクション」シーンについて考えていきます。
プロは絶対描いているのに、新人漫画家は意外に描けていないもの。その1つとして挙げられるのが「主人公の半径5メートルの描写」です。これが1ページに1コマぐらい入っているだけで、漫画は格段に読みやすくなります。 位置関係を読者に示すため、人物を同じコマ内に入れるなどの描き方は皆できている一方で、周囲にどういうものがあるか、つまり「今どういう場所にいるか」を描けている新人は、意外なほど少ない傾向にあります。 テーブルと人物の位置のような狭い範囲の切り取りではなく、テーブルがあって本棚があって壁があって…といった広い範囲、つまり主人公の半径5メートルぐらいの範囲での描写は、むしろ避けられている印象さえも。 おそらく「実際に目で見える範囲」の意識があるからこそ、壁などを描くのが避けているのかと思われますが、そこはドラマなどのセットを意識してみてください。周囲が広く描かれることで、実際の景色というより、そこに漂っている雰囲気のようなものがきっと伝わりやすくなるはず。商業連載の漫画をチェックしてもらうと、案外どの作品でも描かれていることがわかると思います。 というわけで皆さんは、騙されたと思って、ぜひ半径5メートルを描いてみてください。きっと急激に読みやすさがアップするはずです。ほんと、騙されたと思って!
漫画の原稿を持ち込み、編集者から一通り説明や指摘などをもらったあとでの「最後に何か質問ありますか?」という問いかけ。特に無くとも「ありません」というのも、何かヤル気がないみたいで気が引けてしまう……。 そんな風に考えてしまう人が一定数いるのは、よくわかります。ただ、企業の採用面談等ならともかく、原稿持ち込みで特に質問なければ、そこで終わるのが本来は一番良いはず。編集者さんの時間も無駄にせずに済みます。 とはいえ、「質問力」を持っているとフィードバックに対する理解も深まりますし、やっぱりコミュニケーションをちゃんと取れる人のほうが、連載にまで至りやすいという印象はあります。 これはいわゆる「コミュ力」の話ではなく、相手の言いたいことを確認できる力やきちんと受け取れることができる力といった能力の話になります。 そういう意味では、たとえば編集者が指摘してくれたことを復唱し、最後に認識合わせとしての確認(質問)をする・わからなかったところをもう一度聞き直す、といったコミュニケーションがとれるようになるのは、漫画家にとっても良いことのように思えます。 なお、普通におすすめしたいのは、連絡をとるうえで、編集者が望ましいツール(電話なのかメールなのかLINEなのか等)と連絡がとりやすい時間帯を聞くことです。これを聞けば、暗に「次のアポもとるからな」のメッセージになります。また、原稿をどの程度の完成度(ネームなのか下絵なのか完成原稿なのか等)でみせるのがいいのかも確認できるといいでしょう。 もちろん、全ボツレベルのダメ出しを受けたようなときは、そんなことに気が回るような状態ではないでしょう。そういう時はもう、早く帰りましょう・・・!
コミカライズが大ブームの時代ですが、漫画にしやすい小説やラノベ、あるいは作画担当からみて描きやすい原作の傾向はあるのでしょうか? この問いは、担当の人のスキルや嗜好、出版社側の意向などもあるので一概には言えないのですが、あえて回答するとしたら……「しにくい作品はあります!」という感じでしょうか。 まず、冒頭が世界の説明ばかりの作品。テキストだと面白いのですが、漫画でその説明をしようとするのは大変です。同様に、小説では出来事が連続すれば面白く読み進められますが、漫画で出来事の連続だけの描写は厳しいものがあります。 そして、主人公の一人語り・独白形式の作品も、漫画になると話が進みにくい。だからこそ、二番目のキャラも早めに出してあげましょう。対話する相手がいることで、主人公の性格や感情なんかも伝わりやすくなるはずです。 他にも会話と地の文のバランスなど色々挙げることはできますが、あまりコミカライズそのものを意識して書いてしまうと、原作ではなく「脚本」になってしまい、作品自体の面白さが損なわれる・制限されるので悩ましいところ。 なお普通に描きにくい「ジャンル」の筆頭として挙げられるのが、やっぱり濃厚なファンタジー作品。世界観の作り込みやディティールのこだわりなどが高いレベルになればなるほど、作画が追いつかない・描ける人が相当限定されてしまうなんてことに……。 かといって、描きやすいからと「恋愛もの」ばかり推奨するのも、やはり書く側のモチベーションや相性面など、いろんな問題が伴ってきます。このあたりは、原作側でどうにかできる話でもないので、なかなか難しいところ・・・。
そんな感じで今回も、話しながら答えを探していければと思います!
魅力的なキャラをつくるためには、「意外性=ギャップ」を持たせることが大事。その具体的な方法として、「○○だけど△△という相反する要素を設定しよう」とアドバイスされることは、とても多いと思います。ただ、単にギャップを持たせただけのキャラ設定は強度としても弱いですし、魅力も生まれません。 相反する要素は、そこに葛藤が生まれるからこそ良さがあります。「こういうことをやりたいけど、それを邪魔する要因がある」というギャップを持った主人公がいれば、きっとストーリー自体を楽しくしてくれるはず。 あとは、ページ数や話数に応じて、その主人公の願いの「サイズ感」を上手に調整していきましょう。 とはいえ、結局一番大切なのは、描き手自身の「好き」から生まれたものか・描いていてテンションが上がるかどうか。編集者の気持ちではなく、あくまで自身の気持ちに寄り添ったものであることを強く意識しましょう。 何より、ギャップはあくまでアクセントであり、調味料。あまりギャップを考えすぎて迷子にならないことも大事です。
現代を舞台とした非ファンタジー漫画に対する「こんなのリアルじゃない!」という読者からの声、そして「これは間違ってます」的な○○警察の声に、漫画家はどこまで向き合うべきなのか。 描いた側としては傷ついたり腹が立ったりすることも当然あると思いますが、そもそも漫画は全てがフィクションである以上、「読んだ人がある程度は作品世界に入り込めるものが描けた」と捉えていいかもしれません。 なぜなら、全然伝わらないもの・違うものに対しては、そういう意見はこないからです。指摘行為による自己満足の気持ちも強いかもしれませんが、惜しい!と思う気持ちがあってこその指摘ともとれるないのでしょうか。 一方で、「そもそも世界観設定がガバガバであることへの意見」なのであれば、ある程度きちんと指摘として受け入れ、次につなげることも必要かもしれません。 難しいのは、本当の意味でのリアルをそのまま投影して描くと、特に「感情」の部分で破綻したキャラクターになってしまうこと。作品として成立するリアリティラインの上手なコントロールが、フィクションだからこそ要求されることになります。 ほんとすぎてもダメ、嘘すぎてもダメ、というエンタメの難しさに、ぜひ前向きに取り組んでみてください!
アートとエンタメの違いとは何か。どちらも「表現」を目的としながら、両者は何が違うのか。アーティストなどの言葉の定義が広がっている現代では、余計に分類が難しいところもありますが、このラジオではひとまず以下のように整理をしてみました。 ・アート=誰にも届けず自分のためだけに創る、作者にとっての自己実現 ・エンタメ=届ける相手がいることを前提に創る 漫画は読者に読んでもらうことを前提としているため、アートではなくエンタメだと定義しています。漫画家のタイプでいえば、排出型がアートに近いようにも思えますが、やはり誰かにみせることが前提である以上は別物になるでしょう。 もちろんアートとエンタメは厳密に切り分けられるものではないですし、漫画家にも萌えや排出とは別に、「自己探求」といったようなタイプがあるのかもしれません。 一見近いところにあるようで、別物だと言い切ること自体にはアートとエンタメの違いについて考えることで、より漫画と深く向き合っていこうという回になっています!
プロ漫画家を目指す方の作品に対して最近よく感じてしまうのが、主人公の「唯一性」が物足りないかもしれないという点。等身大で普通な主人公を描こうとするあまり、他の誰であってもいいようなキャラになっていませんか? 「派手なキャラではなく、普通の人物たちが紡ぐ物語を描きたい」という気持ちや、「主人公は何かの日本一でないとダメ!」みたいなセオリーに対する反発心から、必要以上に個性を消そうとしてしまっているのかもしれません。 しかし、どれだけ平凡な人物設定であっても、そのキャラに主人公としてのカメラをあてた理由はきっとあるはずです。それ自体はどんなに些細なものでもかまいません。大切なのは、隣の誰かではなく、そのキャラを主人公として描こうと絞り込んでいった根本の感情です。 漫画とは感情を描くエンタメであり、作者の描きたい感情が一番映えるキャラを主人公とする。そうすることで、主人公としての唯一性も出てくることでしょう。逆に、描きたい感情が伝わってこないからこそ、「なぜこの主人公なのだろう」と読者は感じてしまうのかもしれません。 そんな主人公の唯一性の有無の重要性について、今回はしっかりとお話していきます!
自分が描いた漫画に対し、編集者や読者から「テンションが一定」とネガティブな意味で評価を受けることもあるでしょう。 ただ、相手がどういう意図でそう評したのかは何となく伝わる一方で、具体的にどういう点を指しての評なのか、フィードバックした側もされた側も実は曖昧、というケースも多いのではないでしょうか。 そこで今回は、わかったようでわからない漫画のテンションの悪さについて言語化し、5つのポイントにまとめてみました。 何となくテンションが一定だなと感じてしまうような場合、ぜひ以下をチェックしてみてください! 1)コマ割りのリズムが一定になっていないか → 全てのコマにおいて、台詞がほぼ同じ割合で入っているような作品。読者が漫画に描かれた感情を受け止めるためには時間が必要なので、例えば台詞が無いコマを置くなどで「間」を意識する必要がある。 2)シリアスとコメディの差が上手にできているか → ずっとコメディのまま突っ走ることが気持ち良さになる作品もあるが、かなり限定されるはず。基本コメディで展開される中にも、一瞬のシリアスが入れられるといいかもしれない。 3)感情の盛り上げができているか(阻むものあがるか) → 「物語」の感情自体が一定になってしまっており、盛り上がりが山なりになっていない作品。序盤よりも中盤・後半のほうが主人公の感情は当然強くなるが、成し遂げようとしていることに対して壁や阻むものがないと、気持ちは盛り上がらない。なぜ主人公はそんなにも叶えたいのか、という部分に読者も気持ちの昂りを感じられるはず。 4)感情の種類が全て同じになっていないか → 例えば、全てのコマの感情が「焦り・焦り・焦り」の連続になってしまっているような作品。ある出来事や相手に対しては、怒りや悲しみなどいろいろな感情が湧くはずなのに、全て同じ感情で描かれていないか。 5)カタルシスが感じられるか → 抑圧から気持ちが解放される作品になっているか。発見があるか、共感があるか、解放があるかetc.どんな種類であれ、物語の最後のカタルシスが感じられるかはどうかは非常に大事。
漫画家は年齢関係なくデビューを目指せる職業であり、先日も「松本大洋賞」を81歳の方が受賞されたことが大きな話題となりました。一方で、アシスタントを始めてスキルを磨こうと求人サイトを見てみても、案外20代・30代ぐらいまでの年齢制限が設けられていることも……? 理由としては、雇う側が若すぎて40代・50代だと難しく感じてしまう、現在の職場の年齢層が若いので同じぐらいの人の方が馴染みそうetc いろいろ考えられます。 ただ、年齢関係なくスキルや人生経験なんかに敬意を払う傾向の強い職業だと思いますし、今はオンラインでの分業が進んでいるので、実年齢より精神年齢のほうが職場に馴染むかどうかのポイントになるのではないでしょうか。 もちろん人間関係の問題もありますので、一定の「ガチャ要素」は他の職業と同じく存在します。だからこそ、まずは短期のアシスタントで入って、良さそうな職場なら続けてみる、みたいな戦略もとれるはずです。 また、アシスタントではなく案件漫画で収入を得たり腕を磨いたりという方法もあります。その場合のおすすめは、「登録直後の期間は、とりあえずはお仕事を受けること」です。登録後のブーストで引き合いがきやすいタイミングですので、まずは「ちゃんと案件を受けてくれる人だ」という信用をつくることが重要に。 逆にいうと、余裕の無い時は当然お断りするしかなく、登録直後でそれが続くと引き合いがなくなってしまう可能性が高くなります。そういった部分もぜひ戦略的に取り組んでみるといいのではないでしょうか。 今回はそんな感じで、若さで挑戦を積み重ねる方向以外でのスキルアップや収入を得る方法について話をしています。
これまでこの番組では、マンガスクリプトDr.ごとうの考える「世の中で普遍的な」「多くの人にとって再現性のある」マンガの創り方やノウハウについて紹介をしてきました。 しかし今回の配信では、ごとうがCCO(最高コンテンツ責任者)を務める「株式会社コルク」において、代表・佐渡島庸平と一緒に議論を重ねて制定された『コルク創作6箇条』について、推敲の過程やごとうなりの解釈とあわせ紹介をさせていただきます。 マンガを描く皆さんにとっても、「こういう視点があるのか」「企画を立てるときの問うべきポイントはこう考えるのか」といったヒントになればと思います! 〜コルク創作6箇条〜 ・ただ一人、深く届ける相手を定める ・その人が、知りたくてやまない「問い」を見出す ・「生」を取材し、思い込みを外す ・その主人公が顔となる業界を決める ・自分も作品も二代前を遡り、進路を求める ・届けた相手の、変化を確かめる もっと詳細を知りたい方は、佐渡島庸平のnoteをぜひご覧ください! https://www.sady-editor.com/n/n03bd68c0c825
自分が持つ漫画家としての強みや作風、自分しか描けないであろう唯一無二の世界観など。いわゆる「作家性」というものは、一体いつ・どうやって芽生えたものなのでしょうか。 漫画の主人公の場合は「何か大きな出来事」をきっかけに、そのキャラクターが持つ個性や芯となるものを得ることが多いですが、描き手側にそんな具体的なきっかけがあるケースは稀なように思われます。
編集者などのアドバイスによって後天的に生まれるものでは無い一方、物心ついたときから先天的に備わっているようなものでも無いでしょう。
恐らくは描き手自身にとっての「印象的な経験」があり、それが半ば無意識にその後の作風の原点(オリジン)となっているのではないかと考えています。 あなたの作家性は、いつ・何をきっかけに生まれたものなのか? よければぜひ教えてください!
「習慣化させたほうがいいんだろうな」と頭では理解していても、実際にはできないことって沢山ありますよね。
原因はシンプルに“内発的動機”の不足にあるのですが、逆に「なぜそれに対して自分はやる気が持てないのか」を考えてみることは、より深い自己理解へとつながっていくのかもしれません。 例えば、成熟や成長を促すための習慣に興味が持てないという人は、そこにモチベーションを感じることがないからではないでしょうか。 もちろんそれ自体は全く悪いことではありません。例えば成熟や成長の代わりに、今ある強みや特技を生かしたり、組み合わせによって成功を収めたりすることが好きなだけかもしれないのですから。 そんなわけで今回は、例え最後は同じ結論に辿り着くとしても、そこに至るまでの思考プロセスが大事になる的な話について、ひたすら語りたいと思います……!
主人公の気持ちを読者も同じように味わう「共感型」。主人公を眺める・主人公がどんな気持ちなんだろうと想像して楽しむ「興味型」。そしてその中間にある「興味共感型」。
感情を描け!と言われると、どうしても共感型のような描き方・演出を考えてしまいますが、主人公の感情を受け取っているという点では、興味型も感情を描いていると言えます。
さらに、作品内での感情表現を楽しんでもらいつつ、真の感情は描かないという手法も。普段は表面的な感情しか描かず、大事な感情を描かない・深い感情は隠しておくことで、より感情の面白さが引き立ちます。興味共感型の一種で、ラブコメなどと相性が良さそうです。
漫画は、決して1つのヒットの方程式が全てではないですし、全員に共通の正解があるわけでもありません。だからこそ、描くべき方向やキャラに迷った際は、自分が漫画を描くうえでの根源的なエネルギーやモチベーションのタイプに、描き方・演出のタイプと組み合わせて「描きたい漫画」を考えてみるのはいかがでしょうか!
漫画は何でも描けるからこそ、ストーリー内の「特別な状況」を伝えるため、その世界の「当たり前」をしっかりと読者に共有する必要があります。 でも、ついつい特別な状況を描くことばかりに意識がいってしまい、その世界の「普通」の描写は抜け落ちてしまいがちに。描くとしても、どこまでの情報をどれだけ伝えればいいのか。履歴書に何をどこまで書けばいいのか、に近い難しさがあります。 あわせて、普通を描く=テンプレを描く・つまらない説明を描くことと捉えてしまい、「こんな当たり前のことを、読者に向けて描いていいのか?」と悩んでしまうことも。 今回は、当たり前をちゃんと伝えることの大事さと、当たり前とはリアリティであることについて解説していきます。
他者との比較になる技術面より、その人自身が「これを描こう!」と思った着眼点、そして初期衝動。
それこそが漫画を描く上で一番大切なポイントであり、描き手にとってもっとも伝えたい本質ではないかと考えています。 私たちは作品の感想を伝えようとする際、つい「良いことを言おう」「繰り返しの表現は避けよう」といろいろ言葉を探してしまいがちですが、重要なのはボキャブラリではありません。相手に自分の気持ちを伝えることです。 描き手にとっては、もちろん読んでくれた人からの作品の感想はどれも嬉しいものですが、「そんな言葉を言ってくれるんだ!」という感動もある一方で、より強いのは「その言葉が聞きたかった!」という感動、つまり「伝わった!」という感動のほうではないでしょうか。 伝わった・分かち合えた、の気持ちも感動の一種であるからこそ、作品から相手の表現したかったことが感じ取れたなら、まずはぜひ「ちゃんと伝わったよ!」を伝えてあげてください。 そんな話を、過去配信が「子育てのヒントになった」というコメントのお礼とともに、お送りさせていただきます!
「漫画はキャラだ!」をもっとも体現している存在である『国民的アニメ』の主人公たち。昭和から続くドラえもんやアンパンマンたちはもちろん、コナン君のような「90年代から30年以上ストーリーが途切れず継続している作品」の主人公も増えてきました。 そんな彼らに共通する根源的な魅力はどこにあるのかを考えてみることは、きっと自身の創作・キャラクター作りのヒントにもつながるはずです。 今回のラジオでは一旦、「賢い大人顔負けの子どもか、子どもの心や純粋さを持った大人」なのではないか、という仮説を導き出しました。 子どもを主役で!という企画は、作家・編集者とも人によってはモチベーションが上がりにくく、特にWeb系ではなかなか見かけない気もしますが、30年以上愛される魅力とキャラの強度は、漫画を描くうえでぜひ理解しておきたいところ。 皆さんもご長寿キャラについて思うところがあったり、「このキャラの魅力はここでは?」という見抜いてるポイントあれば、ぜひ教えてください!
漫画と小説の大きな違いの1つが、「読み切り」の位置付けや扱い。小説では名作と呼ばれる短編(読み切り)が多く、短編集もよく売れます。
一方で漫画の読み切りは、どうしても連載に向けたトライアル的な位置付けであり、短編集もよほどコアなファン以外は……という状況です。 描く側としても、連載のためにまず読み切り、となると作品へのモチベーションを高めにくいのも無理はありません。
「読み切りサイズにちょうどいい」という前提でのストーリー構成は、人によっては全くテンションが上がらないスケール感かもしれません。また、制作期間の関係も含め、キャラへの愛着が持ちづらい人も多いでしょう。 とはいえ、読み切りを描くことは当然学びも多く、「読み切りだからこそできること」を実践できるチャンスでもあります。
連載作家を目指すからこそ知っておきたい、読み切りと連載の違い、読み切りとの向き合い方について、今回は解説していきます!
SNSでの「次週から新連載スタート!お楽しみに!」的なお知らせポスト。非常に一般的なプロモショーン手法ですが、それって本当に効果あるのでしょうか? それどろこか、むしろマイナスでは……という疑惑も?? 興味のある話題が次から次へと流れてくる世の中だからこそ、「興味を持った瞬間」に読めないと、もはや宣伝としての価値は無いのかもしれません。 逆に、読んで面白ければ他も読んでもらえたり、リポスト(告知)してもらえたりと、「本屋で買わないと読めない」紙マンガにはなかった可能性が広がります。マンガについては、すでに宣伝行為自体のゲームチェンジが起きていると言えるでしょう。 Xでのマンガ投稿はいろいろなテクニック論が紹介され、飽き飽きしている人も多いとは思いますし、アルゴリズム次第ですぐに使えなくなってしまうものでもあります。ただ、本質的に「最初のツカミ」が重要となるのは、紙も含めて全ての連載マンガで共通するもの。 最初の数ページ、つまり「入口」にどれだけ気を遣えるか。そして、その入口次第では大成功を掴めるかもしれない可能性が広がった現代だからこそ、告知・集客のためのSNSと入口について考えていきましょう!
「これが自分にとってのベスト!」と自信を持って提出したネームに対する、編集者からの修正依頼。指示された内容や意見自体は理解できても、それを直ぐに受け入れるのは、誰にとっても難しいことだと思います。 とはいえ、自分の作品ゆえに近視眼的になってしまっている場合も多いだけに、まずは俯瞰的・客観的に作品を見つめ直す機会だと捉えることが大切になります。経験が浅いうちは尚更でしょう。 例えばゴールは同じままで、そこに至るアプローチを変えようという場合は、自分の中の「演出のストック」がそのまま選択肢になるはずです。人・場所・時間など、何か1つを変えるだけで、全く違ったストーリーになるでしょう。 ゴール自体を変えたいという場合は、わかりやすくクライマックスで描く感情を変えてみるのもいいでしょう。かなり大胆な変更ではありますが、描かれる感情が変われば、そこに至るまでに描くべき出来事も大きく変わることになるからです。 とはいえ、これしかない!と思ったネームに指摘を受け、そこから修正を入れていくのは、誰もが思い悩む作業です。
この番組をお聴きの皆さんも、ぜひ良い対応方法や発想方法、あるいは経験談などあれば、コメント欄から教えてください!
便利なツールやSNSの活用・発達などのおかげで、アシスタント経験無しのままデビューしやすい時代になったからこそ、意外によくわからないのが“初めてのアシスタントさんへの依頼”のやり方です。 「指示出し」は1つのスキルであり、漫画家自身もベテランのチーフアシスタントとのやり取りから学ぶところが大きく、何より自分自身のアシスタント経験をもとに良い依頼の仕方を身につけてていくものでもあります。 依頼経験が無いという場合は、いきなり背景などをお願いするのではなく、例えばトーン貼りだけ、ベタ塗りだけなど、簡単なところのみをオンラインで依頼してみることで、依頼の仕方に慣れる、という方法もあります。 とはいえ、結局のところ人間関係の部分も大きいだけに、自分が頼れる人を上手く見つけ出すことが大切になります。人材不足も顕著なだけに、職場のアシスタントさん同士、あるいは連載漫画家志望者同士のつながりで、お互いに手伝い合うという環をつくっていくことが重要になるでしょう。 そういうのができないから困ってる・・・という人は、そんなときこそプロに相談してみましょう。
例えば東京ネームタンクでは、8月から原田さんという背景の凄く得意な方が漫画個別相談の講師に参加しています。こういう経験豊富な方に「アシスタントさんにはどういう依頼をすれば?」と聞いてみる方法もおすすめですので、よければぜひ! ▼東京ネームタンクの漫画個別相談はこちら https://nametank.jp/products/consultation
「感情」を伝えることは実はとても難しく、気づいたら「評価」や「判断」ばかりを伝えてしまいがちです。しかし、漫画では相手に“どういう感情になって欲しいか”を考えながら描くことが重要となるからこそ、感情にはしっかりと着目してほしいところ。 感情は一瞬で通り過ぎてしまうのであり、その一瞬で何を受け取ったか。そんなにバリエーションがあるものではないですし、感情の掴み方・解像度の高め方はぜひ身につけておきたいですよね。 ・・・と理屈では理解できても、やっぱり「評価」や「判断」になってしまうからこそ、あらためて感情の捉え方・伝え方について今回は考えていきます!
見せ場となる大ゴマやアクションシーンの連続で「体感10秒!」と言われる漫画もあれば、美麗で書き込みの凄い画や余韻のある構成で「実際に読んでいた時間よりも、長く見ていたように感じる」漫画もあります。
ただ、感じる時間の長い・短いに漫画としての満足度が比例するわけではありません。ページ数以上の満足度は、結局のところ感情体験の「質」と「重さ」に拠るのではないでしょうか。
演出面では、展開を早めたりセリフを増やしたりと、情報量をアップさせることで「読ませるポイント」を増やそうとする工夫もありますが、それが満足度向上につながるかというと難しいところ。
だからこそ目指したいのは、読者の目がとまるようなコマを作ること。読むスピードは読者側で決定できるコンテンツだからこそ、思わず立ち止まってしまうようなコマの見せ方を考えていきましょう!
漫画の講座などで出された課題に対し、「この課題の意図は何ですか?」という質問がされる理由は何か。大半は「意図を知り、ちゃんと取り組みたい」という気持ちからだと思われますが、「失敗したくないから」が動機になってしまっている場合もあるのではないでしょうか。 漫画は暗記科目ではなく実技なので、まずは実際にやってみて、その後で学ぶ、ということが大事になってきます。手法や技術を紹介する動画や本も多いですが、頭でっかちにならず、実践と学びを上手くサイクルで回していくことが上達につながるはずです。 上手くやりたい欲は誰にでもある一方で、100%やれる人なんかいないというのも事実ですから、失敗を「弱点が露呈する・恥ずかしいこと」と捉えず、「まずはやってみることが大事」のマインドを持って取り組んでいきましょう!
漫画の主人公が持つ特殊な能力やスキルは、現実では有り得ないものだからこその魅力があります。一方で、現実との乖離が少しでも気になってしまうと、作品の面白さが入ってこなくなるという大きなリスクもあります。 有名作品の魅力的な能力やスキルも、よく考えたらとんでもなく無茶なもの、穴があるようなものも多いのに、どうしてある種のリアリティを持ち、読者をワクワクさせ続けてくれるのか。 それは恐らく「世界観」とのマッチ度ではないでしょうか。作品世界の中にも、その世界としてのルールがあり、そこを逸脱していないかどうかこそが、リアリティの判断ポイントになると思われます。 ご都合主義ではなく、私たちの現実とは違うけど、作品の中で生きている人たちには全員共通で適用されているような設定。その世界のルールを侵すからこそ、対価やリスクを背負ってしまうという設定も含め、「ルールの中で」能力やスキルをどう活用するか。 読者が思わずマネしたくなるような、魅力的な能力やスキルを考えるときは、ぜひ「その能力やスキルが発揮される世界のルール」も併せて考えてみてください!
自分の力だけではどうにもならない、時間がかかる。そんな時こそ、プロのサービスを活用しましょう。「ニッチすぎる悩みだから、どこにも相談できないのでは・・・」と思っても、ネットで調べてみるだけで、案外簡単に見つけられるかもしれませんよ。 たとえば東京ネームタンクが提供している「マンガ個別相談」では、アイディア出し、プロット・ネームへのアドバイス、コマ割り・演出へのアドバイスなど、なかなかにニッチなプロへの相談サービスを30分3300円で提供しています。 もちろん他にも便利なサービスは数多くあるでしょう。一人で悩んでどうにもならなくなるより、お金を払ってプロに依頼するほうが、トータルでは大きなメリットが得られるはずです。 一方で、「ある程度自分でできるようになりたい」「そもそもどういう技術や作業なのか、自分でやってみて理解したい」という気持ちも当然あるでしょう。そういう時は、多少時間がかかっても、漫画に関わる作業として楽しんで取り組めているはず。 だからこそ、プロに依頼する・しないの判断は、「楽しいかどうか」でいいかもしれません。 楽しめているうちは自身のスキルアップの一環として取り組み、微妙になってきたら一度利用してみる。漫画に限らず全てのサービスがそうですが、やっぱりプロのサービスがどんなもんかというのは、一回試してみると見え方が違ってくるはずなので、ぜひ!
漫画を描く皆さんにとって、ためになったりならなかったりするお話をお届けする『漫画家ためになるラジオ』が、ついに配信第100回を迎えることができました! 本当にありがとうございます!
ここまで続けてこれたのも皆さんの応援、そしてお便り・ご質問のおかげですので、引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます!!
1回目から特に大きな変化のないこのラジオですが、似たようなことを繰り返しながらも、少しずつ改善を重ねられていることが、やはり継続によって生まれる最大の効果ではないでしょうか。
100回続ければ何かスゴいこと起きるかも?と少し期待していた部分もありますが、100回ぐらいでは何も変わらないというのも事実。惰性ではなく集中、「ためになるぞ!」と意志を持ってこれからもお届けしていきたいと思います。
今後のマンガスクリプトDr.ごとうの目標は、従来の「多くの漫画家を集め、その中の一握りの才能が半ば偶発的に見出されて売れるモデル」ではなく、「ちゃんと能力を磨いた漫画家が、みんなちゃんと売れるモデル」を実現・確立させること。
そしてラジオとしての目標は、まだまだ現状では届いていない多くの漫画を描く人に、このためになるラジオをお届けすること。
引き続き頑張っていきたいと思いますので、皆さん、今後ともぜひよろしくお願いします! お便りはもちろん、何かしらのお声がけ、ご依頼などもお待ちしております。まずは101回目の配信をご覧くださいませ!
連日盛り上がりをみせているパリ五輪。勝敗の結果はもちろん、アスリートたちの頂点を極めた技術を一度に見ることができるのも、五輪の大きな魅力です。 もちろん漫画家にとっての「技術」との種類は違いますが、ある特定の技術の習得のために解像度を高めることで、他の動きにも応用を効かせていくという部分は共通するものがあります。 漫画における「大会」は、賞やコンテストなどが該当してくるかと思いますが、五輪のように各国の代表が一同に同じ場所・同じ時間で開催されるものがあっても面白そうです。 線画の世界一はどれほどの技術なのか、集中線の金メダリストは誰なのか・・・ 「どれが面白いか」ではなく、技術を細分化し、「どれがスゴいか」で競い合って一位を決めるという競技大会があったら、ちょっと見てみたいと思いませんか? 自分が何が得意で、何の部門だったら代表選考でいいところまでいけそうか、などを考えてみるのも面白いかもしれませんね!
アナログよりデジタルのほうが作画は速いはずなのに、どうしても時間がかかってしまう人に共通する2つの問題点。
1つは、素体のバランスが悪いこと。そしてもう1つは、下絵をたくさん描いてしまっていることです。
そもそもデジタルの良さは下絵の工程を飛ばせることにあるはずなので、そこに時間を割いてしまっている人は、下絵無しで綺麗な線が描けるようになるためのトレーニングを重ねてみましょう。
おすすめしたいのが、色紙に自分のサインイラストをたくさん描く方法。
なぜなら、色紙は一発描きするしかないため、100枚も描かないうちに描くべき線が自然と見えてくるようになるからです。
下絵で見えている線をペンでなぞる能力と、頭の中に思い浮かべた線をペンでなぞる能力は、全く別のもの。だからこそ、下絵が一切ないところからイラストを一発描きする「一人サイン会」を開催しましょう!
アンドゥや拡大といったデジタルならではの制限がないアナログの世界の中、一枚の値段もそれなりにするサイン色紙という適度な緊張感のもとに一発描きする経験は、きっと5時間ぐらいであなたのスキルを開眼させるはずです・・・!
個人事業主である漫画家だからこそ、「文芸美術国民健康保険組合」に加入するなど、制度を正しく理解し、活用していくことが持続的な創作活動につながっていきます。 とはいえ、各種加入要件や資格の満たし方など、案外調べてみないとわからないことが多いという実情も。一方で法人化して助成金を申請する等で、グッと創作活動上でお得になるような制度だって存在します。 フリーランスの立場だからこそ、金銭面はもちろん、健康面などのサポートが充実したサービスや制度はぜひ活用していきたいですよね。 そんなわけで今回は、マンガスクリプトDr.ごとうが漫画家のためになろうと奮闘した過去エピソードを中心に、漫画家を支えるサービスや制度などについて語ります。 本編をお聞きの皆さんも、良いサービスや制度をご存じでしたら、ぜひ教えてください!
キャラクターのことを誰よりも理解し、実際の人間と同様の存在と捉えているからこそ、作者本人が「このキャラは、こんなこと絶対やらない……!」という考えに囚われ過ぎてしまうケースがあります。 自身の「キャラ」を愛せるのはとても素晴らしいことである一方、実際の「人間」は周囲からみれば意外にしか思えない行動を、案外いろいろやっている存在であることを忘れてはいけません。 そして人間の行動を左右するのは、やはり「感情」です。 冷静な人がすごく慌てたり、内気な人が急に積極的になったり……。
普段なら絶対しないような発言や行動をするに至った感情は、どういうものなのか。その感情になるに至った違和感のない流れとは、どういうものなのか。 そこに至るまでの展開やシチュエーションを考えることを楽しめるようになれば、きっと漫画の展開やキャラの掘り下げも、一層進んでいくのではないでしょうか。
同じ人間でも、感情次第でいろんな行動をとりますし、皆さん自身もきっとそうでしょう。
だからこそ、キャラの「感情」を作者本人が決めつけすぎず、にんげんだもの、という気持ちで感情の描き方に取り組んでいきましょう!
漫画でよく見かける余白が大きいコマ、さらには白いだけのコマ。物理的に描き切れず、仕方なく白で…という場合ももちろん多い一方で、「余白」を駆使するからこそ伝えられる表現も多そうです。 個人で描く人の増加や、Webtoonのフォーマットの影響で、以前と比べて「白い」コマを目にする機会も増えてきました。 とはいえ、余白によって伝わるのは情感や情景といった「読み手側が自身の経験から類推する」種類の感情であり、ある意味で“大人の表現”と言えるかもしれません。 もともと白い空間に絵を入れることで漫画になるはずなのに、その白をあえて生かすことで、より複雑な感情を表現する……。 あらためて考えると不思議なのに、表現としては定着している「余白」の技法や存在について、考えていきます!
映像作品において、作中で登場人物たちが動いたり喋ったりしている時間と、観る人が受け取る時間とはほぼイコールになります。しかし漫画においては、読者次第で受け取る時間は大きく異なってきます。 だからこそ、漫画は「間」をコントロールして読ませていく必要があるのですが、これがなかなか難しい…。明確にポイントとなるのは「視線の移動」で、例えばセリフ位置の近い・遠いでは、遠いほうが間を感じさせます。他にも、セリフ・顔・小物などの配置バランスで、視線を誘導することは可能です。 さらにセリフやコマは足せば足すほど、物理的に視線はゆっくり進むことになります。しかし、そこで大切になってくるのは、読者に「感情を受け取るための時間」を与えること。その設定をミスしてしまうと、意図せぬ受け止められ方をしてしまうことも。 適切なコマ割りやセリフ配置によって、「時間を操るエンターテイメント」としての漫画について、今回は考えていきます!
「恥ずかしい」とは一体どういう感情なのでしょうか。
漫画ではドキドキした気持ちなどを表現する際に用いられる「恥ずかしい」ですが、実生活の中では、たとえば失敗したところを見られてしまうなど、気持ち的にマイナスな場面で用いられる「恥ずかしい」という言葉。 さらに“恥ずかしさ”と“照れ”は、まさに似て非なる感情であり、「照れ」を感じる時はポジティブ、「恥」を感じる時は、ネガティブ。そんな切り分け方もできそうです。 SNSの投稿などが続かないという人は、もしかしたら「恥ずかしい」という感情こそが、その原因になっているのかもしれません。 そんなことをゆるゆると考えてみる回となっています。
「自分の描いた漫画なんか全然ダメで、読み返すのが苦痛で、どうしても読み返せない。だから客観視もできない…」とお悩みの方も多いかもしれません。 ただ、それは実は「自分」ではなく、「他人」の目線を気にしているからではないでしょうか。漫画は自分の好きをお届けするものなので、それが伝わってない場合・思ったほどに評価されない場合、どうしても自分が否定された気持ちになってしまうものです。 一方で、自分自身は、自分の好きなものを描いているので好きなはずですし、何らか至らない点を見つけても次への成長につながります。だからこそ、他者の目が気になる、という気持ちの排除にまずは取り組むのがいいでしょう。 自分が描いた作品を読み返せない・好きになれないという人ほど、「自分が満足したかどうか」「過去の自分が喜ぶかどうか」で評価してあげられるといいのではないでしょうか。 もちろん、自分が描いた作品の粗や完成度の低さが嫌だという場合もあるでしょうが、そこは「自分の子ども」の成長を見守るような気持ちでぜひ……!
作者が言いたいことを、いつもそのままキャラクターに代弁させてしまいがち問題。キャラがぶれてしまう原因にもなるので、意識したいところです。 一番いい対策は、主人公がほぼ自分を投影したキャラという漫画を、一度描き切ってしまうこと。言いたいことを全部言わないと、ずっとそこに囚われてしまう可能性があるからです。 そのうえで、キャラ=自分ではない別人、という感覚に慣れていくことが大切です。おすすめなのは、「自分7割・キャラ3割」など、性格配分を決め、最後までその比率を守って描くこと。そうすることで、自分とは別のキャラが維持されます。 とはいえ、自分の色がどうしても出てしまいがちという人は、自分ではなく「自分の息子・娘」を描くつもりで描いてみましょう。自分の子ども=自分では当然ありませんし、一方で自分の子どもだから他人の距離や考え方ではない存在でもあります。 キャラの人生も想像しやすいですし、ある程度は言いたいことを言ってほしい存在にもなりますので、「代弁させがち」とお悩みの方は、一度お試しください!
漫画家にとって「強み」は非常に大切な一方、「固執」につながりかねない危うさがあります。 例えば、漫画の企画がなかなか通らないという人。内容を別の角度から切り取った他の企画にすれば通るかもしれないのに、その「通らない企画」に固執するあまり、結果としてずっと通らない状態が続いてしまっているとも言えます。 自分の強み、つまり描けるものを挙げるのは簡単ですが、描けないものを挙げようとすると意外に思い浮かばないように、私たちは自分で思っている以上に「思い込み」に囚われてしまっているのではないでしょうか。 そんな感じで今回は、漫画家にとって足枷になっているかもしれない「固執」や「思い込み」、その外し方について考えていきます!
絵を描くうえでとても重要なのに、意外にみんなが意識していないこと。それが「画数」です。 ポイントは、多い・少ないではなく、統一できているかどうか。強調したい箇所とそうでない箇所で、上手くバランスがとれているかどうか。
漫画はいくらでも記号化できるからこそ、画数の不一致は読者にとって大きなノイズになってしまいます。 特に自分が描きたいところほど画数が増えるのは当然ですが、他の画数が少なすぎると、作品全体として大きな違和感に。
ディティールまでちゃんと画数を揃えられているかどうかは、きちんと意識する必要があります。 なお初心者の人ほど、自身が思っているよりも少なくなってしまうのが画数の特徴でもあります。
絵が上手いとされる漫画家の原稿をしっかりみると、1つ1つが意外なほど画数があることにきっと気づくはず。 そんな誰も気にしていない「画数」の問題について、今回はしっかりと解説していきます。
ネーム提出の前にプロットを提出しているが、「プロットでは面白さが全然伝わらない」「できれば書きたくないけど、ネームから出して全部やり直し、というのも避けたい…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そもそもプロットで編集者が確かめようとしているのは、「主人公が何をしようとして」「読者は何を楽しめばいいのか」というシンプルな軸だということ。 そこさえ伝わって同意が取れれば、もうネームを切ってしまってもいいかもしれません。 逆にプロットを作り込みすぎちゃうと、そこに忠実に描こうとしてつまらなくなってしまう可能性が高くなるリスクも。なぜならプロットには「感情」は書かれず、「出来事」ばかり書かれているからです。 ネームでの直し地獄になるのは避けつつ、いかにプロットで伝えるべきもののみを省力化して伝えるか。実は自身も「プロット否定派」であるマンガスクリプトDr.ごとうが、解説していきます!
「これは最高に良いものが描けた!」と思っても、後日読み返したら「そうでもないな……」となってしまうのはよくあること。それはある意味で、成長の証でもあります。 成長したからこそわかることであり、価値観がアップデートされたからこそ気づいたこととも言えるでしょう。 だからこそ逆に、疑問を感じる前に「勢いで描きあげる」ことには、大きな価値があります。 描き上げるからこそ、振り返りができる。次につなげることができる。「気合い」に頼るのではなく、「気持ち」が乗ってるうちにこそ描きあげる重要性について、今回は語ります!
重厚壮大なSFから日常系まで。あらゆるジャンル共通で、“漫画的表現”として欠かせない表現手法が「誇張」です。 歌舞伎の「見栄」がまさにそれで、『感情の盛り上がった場面で、役者が一時動きを止めて目立った表情・姿勢を示す』ことが見栄であり、その演技をすることを「見栄を切る」と言います。 漫画でも見開き・大ゴマでの表現はまさに見栄を切ってますし、コマ割りの変化や静止表現、あるいはツッコミを入れて緩急をつけることも該当するでしょう。 つまり、上手に間をとり、リアクションをつけること。そうやって見栄を切らせることを意識するのが、表現として大切になります。 (※ONE PIECEの「ドンッ!」はまさにそれですし、ONE PIECEが歌舞伎と相性良いのは当然かもしれませんね) なお、些細なことをいかに誇張して楽しませるかは、簡単なようで、実はめちゃくちゃ漫画を理解していないとできない高等な表現技術。皆さんもよければぜひチャレンジしてみてください…!
漫画には数多くのジャンルがありますが、ほぼ全ての漫画に共通して盛り込まれている要素が1つだけあります。
それが「ユーモア(おかしみ)」です。 「ギャグ」を入れなきゃいけないわけではなく、そのユーモアが笑えるかどうかも問題ではなく、単純に入っているかどうか。 特に賞に応募するような読み切りは、「真剣」のみで描かれている作品が多いですが、世の中の連載作品でユーモアが1つの表現もないような漫画は、ほとんど無いのではないでしょうか。 どんなジャンルであってもおかしみを感じさせる部分がないと、緊張・息苦しさだけが連続することになってしまいます。
だからこそ漫画を描く人は、自分が思うより「2割増」ぐらいそういう表現を入れるよう意識してみましょう。 作品としての情報量の整理の過程で、おそらく真っ先に削られるであろうユーモア表現ですが、存在の重要性は世の中の大半の作品が採り入れていることで既に証明されています。 そして大切なのは、ユーモアを入れようという「意志」自体を持つこと。
そこにユーモアの「センス」は必要ありません。 売れている漫画のユーモアはよく「面白い」と評価されますが、それ単体を切り出してギャグとして評価した場合、実際は微妙なものも多いでしょう。作品全体の流れの中に入れられているからこそ、上手く機能しているのです。 ユーモアとは余裕であり、余裕がない人ほど削ってしまう要素かもしれません。
その意味でも、「ユーモア2割増しにしよう」という気持ちを持っておくと、あなたの作品にも良い意味での余裕が生まれるかもしれませんよ…!
漫画を描く人なら、誰もが一度は妄想したことのある「誰かペン入れしてくれないかなー!」の夢。 それを叶えてくれるツールが、すでに実用化されていたのです…! しかもAI特有の個性皆無の出力ではなく、元の絵の個性をしっかり尊重し、色まで塗ってくれるという至れり尽くせり感。別のツールでは、線画の抽出なんかも、すごくいい感じにやってくれるようになっています。 一方で、AIが出力した画の違和感や差分を自分で修正しようとすると、ある程度その出力された画と同レベルのスキルが要求されることになります。つまり、AIの活用はただ便利なだけでなく、自身の画力アップにもつながっていくわけです。 そもそもひと昔前まで、解像度は下げることはできても、上げることなんか絶対できなかったはずなのに・・・ 私たちは今まさに時代の変わり目に立ち会っているのかもしれません。今回はそんなストレートな情報紹介の回となっております。
自分の作品のプロットを、指定されたページ数に落とし込んだ漫画作品として完成させるためには、何を意識すればいいのか。 そんなお悩みをお持ちの方にまず意識してほしいのが、「仮に全く同じ話であっても、ページ数はいくらでも調整できるはず」ということ。 例えば『桃太郎』を描こうとした場合、8コマでも4ページでも100ページでも、解像度を上げたり語り方を変えたりすれば、簡単に長くも短くもできるわけです。 そして何よりも大切なのは、実際に何パターンか描いてみること! 1つ1つのエピソードにどれぐらいの感情を描けるのか、全体のページ数の中での出来事と感情の分量をぜひ体感してみてください。 「描ける感情って意外に少ないな」と感じることが、お悩み解消への第一歩となるはずです!
「あなたの漫画家としての最大の武器、あなたにとってのエクスカリバーやリーサルウェポンは何ですか?」と質問された時、即答することはできますか? 自分の漫画家としての強み(武器)を理解していない人、あるいは強み(武器)を押し出していくことを一番に考えている人というのは、案外少ない印象です。 でも、「自分自身が描きたいもの」と「読者が読みたいもの」を意図的に重ね合わせ、読者の気持ちを高めていける強みこそが「武器」であり、商業で連載をしたい人ほど大事にしてほしいものになります。 こういう話をすると、「自分にはまだ武器が無い…」と思ってしまう人も多いのですが、それは恐らく自分で気づいていないだけ。 すでに無意識に使っている武器の存在を改めて認識し、ちょっと研ぐだけで、すぐにあなたにとってのエクスカリバーになるかもしれませんよ……!?
「多すぎる」とも「少なすぎる」とも指摘されやすいのが、「1コマあたりの情報量」。一体どれぐらいの情報を、どのように伝えるのが適切なのか? 原則として、描き手として意識しておきたいのは、 ・1コマあたりで伝える情報は、1つの事項に絞る ・ただし、1つに絞った事項からは、できるだけ多くの情報を伝える ということ。 1コマの中で関係のない事項を複数並べて伝えようとすると、何を読み取ればいいのかがわからなくなってしまいます。逆に、1コマから伝わってくる情報量が少なすぎると、ただただ間伸びしたようなコマが続いていく漫画になってしまいます。 たとえ1つのコマ単位であっても、漫画家なら常に考えなければいけないのは「読者の感情をどう動かせるか」ということ。1つのコマから伝わる情報をどうコントロールするかについて、今回はしっかり解説していきます!
自分が主役の物語を「エンターテイメント」として語れるかどうか。漫画家はエンタメを描く仕事である以上、自分の日常を“お土産話”として誰かに届けよう、というマインドが大切になってくるのではないでしょうか。 例えば、普通とは少し違うことが起きた場合、怒ったり落ち込んだりしてしまうと思います。しかし、そんな時こそ実は「普通と違う人生を歩むチャンス」が到来している・・・そんな風に捉えることもできるはずです。 何かあった時、常に愉快で楽しいものに自分の中で変えていくというマインドチェンジをすること、そしてその経験を誰かに伝えようとすること。「自分が主役の物語」の表現と届け方を日常で考え続けることは、きっとクリエイターにとって最高のトレーニングになるでしょう。 エンターテイメントの世界で生きているからこそ、普通の一日では終われない・・・。そんな「適度な緊張感」を持って日々を過ごす方法を、今回はじっくり紹介させていただきます!
漫画を描くなら、きっと誰もが「人の心を揺さぶるセリフ」を書きたいと思うでしょうし、それが第一話となるなら尚更でしょう。 ただ、セリフから漫画をつくってしまうと、逆に「カッコいいこと」「感動的なこと」を言おうと意識しすぎてしまい、どこかから借りてきたようなテキストになってしまいがちに。 読者からも、説明的なセリフ、言わされてるセリフ、と思われてしまうかもしれません。 だからこそ、あらためて意識したいのが、漫画は「感情」を伝えるものであること。セリフはむしろ添えるだけ、ぐらいに捉えるぐらいが丁度いいのかもしれません。 テキストとしての「いいセリフ」より、描きがいのある「いい感情」を描くこと。そこに少しの「インパクト」を乗せて伝えること。 それが読者の心をノックするようなセリフにつながるのではないでしょうか。 名作の名セリフも、テキストだけ抜き出してみたら普通、それどころかちょっとダサいぐらいのこと言ってるのでは……? という視点からも、ぜひ考えてみてください!
漫画家さんが集まる勉強会で相談を募ると、約半数の方から編集者との関係について、更にそのうち半数の方から「編集者さんの返事が遅いんです…」というお悩みが寄せられます。 それほど漫画家にとってのメジャー課題である、“編集者の返事が遅い”問題。 もちろん相手との関係性やキャリアなどが大きく影響するため、ケースバイケースにはなってしまうのですが、今回は ・長文でしっかりフィードバックしてくれるんだけど、それが返ってくるまでとにかく時間がかかる ・編集さん自体は信頼していて、一緒にやっていきたい というような、「関係は悪くないけどコミュニケーションがとにかく重い」というパターンで考えていきます! なお、自身が比較的その傾向が強めのマンガスクリプトDr.ごとうからの提案は、 ・メールじゃなくて、通話やアポで「その場で原稿を読んで、フィードバックするためだけの時間」を強制的に設定する ・編集者本人に、信頼している気持ちを伝える ・長文で返す人は内容をしっかり読み込んで返してくれているのは間違いないので、「返信の締め切り」を明確に指定し、タスク化してもらう といった方法になります。ただ、このあたりは本当に相手との関係性にもよるので、もし参考になるところがあれば! ちなみにごとうはリマインドされるのが大好きなので、ごとうとお仕事されていて、「返事がないな…?」と思われた場合は、どんどんリマインドをお願いします……!
学ぶ楽しさを持ち続け、上達する喜びを感じ続けるために大切なのが、上手な目標設定。「学ぶ」側に求められる気持ちの部分を、「教える」側がどうモチベートしていくかの問題でもあるのですが、この設定が非常に難しい……。 プロの漫画家への第一歩を踏み出しても、当然すぐに上手くなるわけではありません。だから自分で「いま練習してるこれは、なかなか上手くできないけど、めちゃくちゃ重要なんだ!」と本気になって、取り組みを続けなければいけません。 しかし、学びが辛くなって途中で立ち止まってしまう人に共通する現象の1つが、道の遠さを感じるがあまり「こんなことやってていいのか!?」という不安に襲われ、すぐに別の方法を探し始めてしまうこと。そして、またすぐ挫折してしまうこと。 その悪循環をいかに防ぎ、どう自らの進化のさせ方を身につけられるようになるか。 漫画に限らず、すべての学習における永遠の課題ともいえる問題について、マンガ専科10期の学習プログラムを絶賛準備中のマンガスクリプトDr.ごとうが考えていきます!
ラーメン屋がいつも同じ味を提供できるのは、自分のつくるラーメンの売りや推し、他店との違いが何かを正しく理解できているからこそ。 では漫画家はどうか。自分の作品を知り尽くし、どこが面白いポイントで、どこが他の作品と違って推せるポイントなのかを、漫画家自身がしっかり言語化できているのか。 そもそもどんな味(完成形)になるか、予測もできないままにお客(読者)に商品を提供するようでは、プロ失格。 自分の特性を理解し、安定して同じ味を提供し続けられるようになるには、100杯レベルでは全然ダメ。1000杯レベルでようやくスタートライン。 そんな険しい世界で道を極めようと勝負しているのが、ラーメン屋であり漫画家たちなのです・・・!
そう、漫画を描く道を極めることは、ラーメンを極めることに似ているのです。
画力向上の難しいポイントは、“得意を磨き込めば、不得意な部分が気にならないようになる!”というわけでは、決してないところ。 むしろ自分の不得意な部分を客観的に理解し、解消させることのほうが実は大切だったりするのです。 そんな視点から「ここが伸びたらもっといいのに…!」というチェックポイントを、3カテゴリで7つずつ・合計21項目ほど設定し、コルクのWebtoon編集部で実際に活用してみました。 今回はその項目と内容について紹介する回となります。このラジオでは珍しい?実践的な回となりますので、皆さまもぜひチェックしてみてください! ▼画力検定21項目はこちら! 【①ドローイング】 1)太さの安定、バランス 2)ストローク、強弱、繋ぎ 3)ペンタッチの美しさ、カケアミ 4)線の疎密 5)画数の一致 6)入り抜き、線の端の処理 7)光と影の意識 【②デッサン】 8)骨格、筋肉、人体バランス 9)立体感、円柱、球 10)アイレベル、パースの理解 11)重力、運動、力学の理解 12)影の入り方 13)構図、シルエット、デザイン 14)デフォルメ、誇張表現 【③ディティール】 15)口、耳の中、小物、構造理解 16)反復、対照 17)フラクタル、バランス 18)シワ、素材感、質感表現 19)厚み、回りこみへの意識 20)ハイライト 21)細かい陰影、墨だまり
デスゲームやホラー系漫画の登場人物に読者が求めているもの。それは「ストレス解消」ではないでしょうか。 普通の漫画の登場人物に求めるポジティブな期待感とは違い、ムカつく奴がめちゃくちゃ酷い目にあったり転落したりする様子を見るのが気持ちいい、という欲求の満たし方。 それを成立させるためには、逆に読者の「共感」をしっかり取れていることが必要になります。 例えば「ラクに金を稼ぎたい」「とにかくモテたい」とか思いながら、特に何もしていない奴に対し、皆さんも“少し”は共感できるのではないでしょうか。 共感し、少し気持ちがわかるからこそ、その登場人物がムカつく。それがわかるように描けるのは、上手な共感があればこそです。 前向きな共感をとりいく主人公を描くのがどうも苦手という人には、こういう方向の共感もあるよ、という解説回になっています。 ただ、そんな微妙なクズがいっぱいでてくるだけの漫画だと、それはそれでただ嫌な気持ちになってしまう……。 そこを中和させるために存在する男こそ、タモさんなのです。 やっぱりタモさん最高。そういう回でもあります。
自分の漫画の登場人物たちに、自然で楽しい会話をさせたい。でも、できない……。
そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。 「楽しい青春時代過ごせていない自分には、無理なのかも」「そもそも楽しい会話ってなに?」「自然であろうとすることを意識するほど、不自然になってしまう」などなど、一度ハマってしまうと、なかなか抜け出せないループに陥ってしまうことも。 そんな時は、キャラの感情を掴むというのはもちろん、「場所」についてもぜひ意識してみましょう。 キャラ・セリフ・場所の3つの組み合わせで、会話の自然さや雰囲気の良さなどは全然違ったものになってくるはずですよ。 でも、一番大事なのは、やっぱりリラックスすること。
自分が楽しくないのに楽しい会話を考えるのは、やっぱり厳しいですからね……!
ストーリーの面白ポイントと、読者がお金を払いたくなるような快楽のポイントは、多くの場合異なります。 ただ大切なのは、ここがウリになるから仕方ないと「嫌なものを我慢して描く」のではなく、「ずっと自分が描き続けられる好きなものを見つけ、それれを描く」ことです。 だからこそ、インプットのために他の漫画家さんの作品を読む際は、ぜひ「自分のどんな欲求や気持ちが満たされているのか」を意識してみてください。 きっと、自分はこれを描くのが楽しそうだ、という何かが見つかるはずですよ!
東京・表参道にて開催された「#マンガ家大交流会」。金曜夜に、なんと240名ものマンガ家さんが集まってくれました!本当にありがとうございました! お礼を言いに来てくれる方も多かったですが、わざわざネームタンクや専科を受講してくれたうえに、さらに今もずっとマンガを描き続けてくれていること自体に、何よりもお礼を言いたいです! そして今回あらためて約10年の講座の取り組みを振り返り、技術を教えることよりも大事な設計になっていたかもしれないと気づいたこと。 それは「自分では少し無理かもしれない」という目標、たとえば「3日間で32ページのネームを描く」という経験を積んでもらえたこと。 講座の内容自体は忘れても、体感は覚えており、それは人生に大きく影響していくもの。今後の講座の設計において、さらにその点を重視していきたいと決意した次第でした。 あらためまして、皆さん本当にありがとうございました! 最後にこの番組についてですが、作業ラジオとして聴いていただいてる方が多く、「あまり役に立つことばかりをずっと言われても、逆に困る」とのご感想をほぼ全員の方から頂戴しました。 そんなわけで、この番組は引き続き「余白多め」のラジオとして配信を続けていただければと思いますので、お便り等なにとぞ宜しくお願い申し上げます。 皆様からのお便りこそ、このラジオにおける交流会なので・・・!
編集者からのフィードバックなどでよく用いられる「普通」という物差し。 「普通はこうなりませんよね」「普通の読者はわかりませんよ」など作品を注意されると、「普通ってなに?」「わざわざ普通を描く意味あるんだっけ?」など、普通という定義そのものに対して疑問を抱いてしまいます。 しかしそこに囚われていては、本質的な課題から目を背けることになってしまいます。 まずは「普通」の定義を編集者と揃えてみましょう。 もしかしたら、感情や展開を説明するのに必要なコマを省略しすぎてしまっているせいで、理解できない=普通でない描き方になっているのかもしれません。 あるいは、読者がまったく共感できない言動や行動を、主人公がとってしまっている可能性も。善悪とかではなく、なんでそんなことするのか本当にわからない=普通でない主人公になっているのかもしれません。 「普通=ありきたり、一般的」。だから普通でないものを描かないとダメなのでは? という捉え方をするのではなく、「普通=わかる」。 だからこそ「普通」という物差しを意識しながら、漫画を描いてみてください!
「この表現、いいな」と感じた漫画のページやイラストをストックし、自身の表現の引き出しや幅につなげていくこと。
その過程で大切になるのは、どれだけその数を増やしたかではなく、どれだけ整理整頓や見直しを繰り返したかです。
覚えていなければ、頭に入っていなければ、ストックを増やしてもあまり意味がありません。
集めたストックをフォルダに分類する作業は、自身の好みの傾向を掴むことにも役立ちます。 どこが気に入ったのかを明確に把握するために、テキストに書き出してみつのもいいでしょう。言語化してみる、というのはとても有効な手段です。 漫画を描くうえで、自分の頭でいろいろ考える工程はどうしても発生しますが、イメージが湧くまでの時間はきっと全然違ってくるはず・・・ 今回はそんなストックと引き出し方の関係の話、そして漫画家にとって永遠に解決しないテーマである「編集者とのコミュニケーション、どうすれば上手くいくか問題」について話をしていきます。 なお後者は、永遠のテーマなので、全然解決してません! 求む、皆様からのアイデア・・・!
1つの話の中に、あれもこれもと詰め込みすぎて、「パフェ全部盛り」状態になってしまう……。
漫画を描く人なら、誰もが抱える悩みではないでしょうか。
考えなければならないのは、漫画家としての自分のストロングポイントである「ウリ」と、読者がお金を払いたくなる「売り」がどこにあるのかということ。
「ウリ」の部分については、1つの話の中に入れている自分が良いと思う要素を、全部書き出してみましょう。
きっとたくさん出てくると思いますが、パフェでいう「季節のフルーツ」や「生クリーム」、または「コーンフレーク」といった素材に、各々切り分けることができるはずです。
そして「売り」の部分については、果たして自分の作品のどこに課金をしたくなるライン=「課琴線」が存在するのか、を考えてみましょう。
読者が面白い・良いと思う作品を描くことと、読者がお金を払ってくれる作品を描くことは、残念ながら決してイコールではありません。単に良い作品を描いてお金をもらう、というのはとても難しいこと。
売れるを意識するのはよくない、という意識はモノづくり全般において根強いかもしれませんが、「ウリ」だけではなく、「売り」が明確であることも、ヒットにはやはり必要なのです。
今回は、描き手がそこばかり注目しがちな「ウリ」と、目を背けられがちだけど読み手が求める「売り」について、真正面から向き合います!
漫画制作において、一番最初にあるべきもの。それは「こういうのやりたい!」という気持ちであり、イメージです。 その次に「これを表現するためには」という構造論。そして三番目に、「これを描くうえでの注意として」といった弱点などの指摘。 漫画家が持つ「これが大好き!」は、思いよりもさらに前に位置する超大前提みたいなもの。制作においては、思いが先で構造や指摘が後。この順番が何よりも大事になります。 一方で、構造論など「ヒットさせるための物差し」がないと、物語が完結しない、というそもそもの問題が生じてしまいます。 だからこそ、漫画家には編集者が必要ですし、いい話し合いのためには、いい関係値が必要となるのです。 今回は漫画家と編集者の関係性や役割などについてもしっかり語っておりますので、ぜひ最後までお聴きください!
構成としてはよく似ていても、描き方で大きく異なるのが映像作品と漫画作品。その大きな理由の1つとして挙げられるのが、「ながら」ができるかの違いです。 漫画は「ながら」で読めないからこそ、主人公の「こうしたい」という強い意志を早く示してくれないと、ページをめくるのが辛くなってしまいます。 だからこそ、映像が主人公の「行動」から意志を描いていくのに対し、漫画はとにかく主人公の「願い」をまず先に示し、読者に伝えるためにアクションを描くという順番になっているのです。 今回はそんな映画と漫画の描き方・見せ方の違いについて解説します! ※なお、本編は19:30 からになります! そこまでは、ただただ週末に『ゴジラ-1.0』を観たマンガスクリプトDr.ごとうの感想が続きます。
「ネームの制作は、もっともっと評価されるべきではないか?」 WEBTOONを中心に分業制がある程度浸透したことで、昔に比べればまだ認知度が高まった印象のあるネーム制作というお仕事。 「文章」の原作と「絵」の作画を、「漫画」として面白く魅せるのがネームの役割であり、制作した人間の作家性や個性が一番反映されるポジションでもあります。 しかし現状、原作を書きたい人・絵を描きたい人は数多くいても、「ネーム描きたい!ネーム大好き!」という人がどれだけいるかというと…… ネームを制作する人はいわば「演出家」であり、ドラマでも演劇でも大人気のポジションでありながら、どうして漫画だけこんなに不人気なのか? こんなに需要もあるのになぜ…? 「東京ネームタンク」という、いかにもネームのプロフェッショナルっぽい団体をひきいるマンガスクリプトDr.ごとうが、ネーム制作者の地位向上・人気アップについて大真面目に考えます! 皆さんも、「ネームライター」「コンテ構成」など、ネーム制作者のかっこいいポジション名をぜひ考えてみてください!
クリエイターなら誰もが自問自答する永遠のテーマ。
それが「自分の創った作品、これ何が面白いの?」問題です。 どうすれば主観ではなく客観的に面白さを判断できるのか。面白いかどうかは、何をチェックポイントにすればいいのか。
わからなすぎて、「そもそも面白いってなんだっけ?」と迷宮入りしてしまうこと必至です。 結局は「面白いとは主観である」が答えなのかもしれませんが、 ・データやパターンの分析を駆使して描いた作品は客観性こそ高いかもしれないが、漫画家のやる気はあがらないのでは?
・感情を描いてるコマの数、ページあたりのコマ数の変化などである程度判断はできるかも? などなど、面白さの客観的判断の実現という難題について、今回は必死に考えていきます。
皆さんもぜひ一緒に考えてください……!
「わかりやすさ」を意識しすぎるあまり、何も個性がない漫画になってしまっているのでは…?
編集者のアドバイスを聞いて描き直しを続けるうちに、そんな気持ちに囚われてしまう漫画家もいるかもしれません。 もっと「自分らしさ」や「個人的な萌え」を強く出さないといけないのでは…? と不安を感じることもあるでしょう。 しかし、漫画家が心の内に秘めた狂気のようなものは、隠し切れるものではありません。 むしろ、消そうとしても消しきれないそれこそが、本当の「個性」であり、読者はそこに最大の魅力を感じるのではないでしょうか? 今回は、そんな「個性」と「わかりやすさ」について、GWボケを引きずったままの2人が考えていきます! ※なお、本編は37:03 からになります! そこまでは、ただただ2人がGWに見た映画やドラマについて話をしているだけのグダグダが続くのでご注意ください!
漫画家自身の癖(へき)が滲み出るような作品こそ、読者に「扉を開く」「何かに目覚めさせる」ような体験を与えるのではないでしょうか。 そんな元漫画家の編集長・ごとうが、作品作りにおいて大切にしたいと考えているのが「ネーム」ではなく「企画」そして「ログライン」です。 今回はコルクスタジオ編集部としての制作体制や現状&展望をしっかりと紹介しつつ、5月24日(金)19時半より開催の『マンガ家交流会』についても案内させていただきます。 250名ものマンガ家が集合&ご飯も豪華なリアル交流会イベント、ぜひお見逃しなく!
※特にこのラジオを聴いてくださってる貴方のご参加を、心よりお待ちしております!
自分の漫画のキャラの台詞に対し「不自然ではないか」「説明的すぎる」などの指摘を受けたことはありませんか。 とはいえ漫画のキャラの台詞は、そもそも説明のために喋らせている場面が多く、台詞を避けて絵で表現しようとすると、かえって間伸びやテンポが悪くなってしまうケースも。 台詞が不自然さだと感じたら、説明過多になってしまっているかどうかではなく、まずは「キャラの思考の流れが、読者からみたら飛んでしまっているかもしれない」と疑ってみましょう。 文章自体がどれだけ自然でも、違和感や気持ち悪さを覚えてしまうのは、読者が感情・思考の設計についていけないせいかもしれませんよ。
「販促もっと頑張らないと!」「SNSでどんどん宣伝しないと!」と、書き手である漫画家自身が、作品ではなくアピールのことばかり考えてしまうケースも多くなってきたのではないでしょうか。 しかし、漫画家が個人でいくら頑張ったとしても、その効果には限界があります。
それよりも、売ってくれる人・広めてくれる人に効率的にアプローチするほうが、結果として多くの読者に作品が届くようになるはず。 今回はマンガスクリプトDr.ごとうが、珍しく自身の「営業」に関するエピソードなどを振り返りながら、上手な仕掛け・売り方について考えていきます!
漫画のキャラは、 企画段階では「まだそこに存在していない人物」であり、そんな人物の過去や深い背景などわからないのが当たり前です。 それゆえ、キャラづくりの過程では、「こういう人がいたら嬉しい」「こんな人であってほしい」という観点が必要となり、そこには作者であるあなた自身の「価値観」が深く反映されていくはずです。 だからこそ、キャラの掘り下げが浅いと思ってしまうようなときは、まず自分自身を掘ることを先にやってみましょう。 自分の中にないものをキャラに反映させるのではなく、自分の中にあるもののうちの一部を分けていくことで、きっと大事なものが見つかるはず。 今回はそんな思考の深め方について考えてきます!
漫画家にとって漫画編集者の役割とは、漫画家の作品を世に届けること、そして漫画の最初の読者として「こう伝わった」というシンプルなフィードバックをしてあげること。 作品を初めて読んだ際に覚えた違和感やモヤモヤに対し、
・「もっとこう直したい」という、自分の外の世界(作品)に変化を与えたい欲求 ・「もっとちゃんと知りたい」という、自分の外の世界(作品)から手に入れたい欲求
の2つの欲求を同時に抱きながら、的確なフィードバックをおこなうことを漫画編集者は心がけています。 前者を伝えるのは簡単ですが、伝え方によっては漫画家のヤル気を削ぐだけなので、気をつけないといけません。 後者は心の中に一瞬よぎった感情を巻き戻し、読み手として何を欲しているかを漫画家にきちんと伝える必要があるため、非常にハイレベルなスキルが要求されることになります。 でもそれでいて、後者だけでは雑な仕事しかしていないと思われる危険もあるのが編集者という職業。
そんなわけで今回は、いろいろある編集者の仕事の中で、特に漫画家のためになりそうな部分に特化してお話していきます。
自分が知らない分野の話やより深い話を描くためには、やっぱり取材はしておきたい! でも、編集者が同行してくれるような正式な取材でないと、アポ取りや居住地の関係などで難しい場合も多そう……? ヤル気はあっても、題材やテーマによっては自力でおこなうのは難しいのが「取材」かもしれません。 もちろんできる範囲で自分で足を運ぶことは非常に大切ですが、書籍や映像からでも得られるものは沢山あります。 さらに元・小学館でIKKIの編集長だった江上英樹さんが教えてくれた取材のポイント、それは ・取材とは「情報」を探すのではなく、「人」を探すこと ・「その分野に詳しい人」ではなく、「その分野のことを楽しく話せる人」の話を聞く(読む)こと 漫画は結局「人」を描くからこそ、情報より魅力的な人を見つけ出すことが重要であり、それは書籍や映像、そして現在はSNSなんかからでも探すことができるようになったわけです。 そんな感じで今回は、居住地や立場など関係なく、面白い漫画を描くためにおこないたい「取材」の考え方と取り組み方を紹介していきます!
「いつになったら自分の画力は上達するのか、このまま何年も伸びなかったらどうしよう…」 漫画家志望の人なら誰もが悩むであろう永遠のテーマに対し、ついに解決法を発見。その答えこそが、AIの活用でした! もちろんポイントは「AI に出力させて描かせる」のではなく、「AIを活用して、自分の画力を素早く上達させる」こと。 自分にとって最適なお手本を、無限に・即時に出力し続けてくれるのは、まさにAIからしか得られない最高のサポートです。 AIのおかげで圧倒的な練習量を確保できるようになったことで、これまででは考えられない速度で画力を上達させられる時代が、ついに到来したのかもしれません。 なにかと話題になる「漫画家とAIの共存」について、ポジティブな側面を語っていきます。
*今回は本題に入るまでがいつになく長いので、タイトルの内容が気になる方は、21:28あたりからお聞きください・・・!
「この企画はマジで最高! 大ヒット間違いないし、描きたくてたまらない!」 「でも、自分の画力ではまだ描かないほうがいいのでは… もっと技術が上達してからでないと、せっかくのアイデアが勿体ないことになりそう…」 自分の画力や技術の問題から、本当に描きたい最高の企画を「セルフボツ」にしている経験はありませんか? いつか納得するスキルを得られたら…と、執筆を先延ばしにするのも漫画家として大事な戦略ですが、描きたい気持ちを抑えてまで別の企画を描いているのは勿体ない! もちろんイメージどおりの表現ができないことで挫折を感じてしまうこともあるでしょう。 だからこそ、そこで諦めてしまわないための対策を、マンガスクリプトDr.ごとうが伝授! ・セルフリメイクで何度も描く ・まずは短い話、ちょっとしたエピソードから描く ・サイドストーリーや日常回から描く などなど、初心者からでもすぐに取り組める「段階設計」について解説していきます!
漫画家が複数の担当者に自分の企画を持ち込むのは、ある意味当たり前のこと。自分の企画を高く評価してくるところとやるのが一番です。 もちろん担当者と一緒につくった企画を他所に持ち込むのはダメですが、自分でつくった企画なら、いろいろな編集部に評価を聞いて回って、良かった点・悪かった点を書き出してみるのもいいでしょう。 きっといいブラッシュアップになるはずです。 また、特典つけて漫画を売り上げを伸ばす作品(作家)に対しては、抵抗感や嫌悪感を持つ人もいるかもしれません。 でもそれは、特典をつける方法で売り出すほど編集部に評価されている作品(作家)かどうか、という見方もできます。 作品としての性質や作風の違いはもちろんありますが、どうしたって連載陣の中で序列のようなものはありますし、編集者や出版社側のリソースは有限です。 自身の売り出し方について交渉のテーブルに立つには、やはりどれだけ評価されているか、がポイントになってしまいます。 今回はそんな連載前・連載後の「評価」に関するお悩みにお答えしていきます。
「新人漫画家だからわからないと思うけど、こうすると売れるんだよ」 そんな編集者からの提案・アドバイスと、自分の描きたい方向が明らかに異なる場合、どこまで自分の意見を言っても大丈夫なのか? マンガスクリプトDr.のごとうが、自身の実体験を踏まえながら「こう言えば良かったのではないか」を振り返ります。 作品は作家のものですが、世に出す上ではパートナーである編集者との交渉、そして納得も必要。 なお結論として、相手に伝えるべきは「原因をしっかり考えた上での代替案」と「自身の描きたい気持ち」、そして「作品のウリとなるポイント」ではないか、という話となっています。
PV人気ランキングが掲載されているWeb漫画媒体は多いですが、「セクシー系」「エロ系」の漫画が上位を占める傾向が強いかもしれません。 「頑張って面白い作品を描いても、結局エロ系に人気は負けてしまう」「担当者からも、セクシー要素を足すようアドバイスされてしまう」 そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 でも、エッチな表現が多めの漫画自体は昔からずっと描かれていますし、名作と呼ばれる漫画もたくさん存在します。 それらの作品が持つ、単なるエロ要素や性癖とは違う「漫画としての魅力」はどこにあるのか。
今回はエッチ系漫画の過去の名作を通して、「その作家らしい表現」「作風」について考えます!
「担当の編集者とうまくいっていない……」 「話していて、どうもしっくりこない……」 漫画家さんから受けるお悩み相談の半分ぐらいは、この話題かもしれません。 一緒に良い作品をつくっていくための同志・パートナーである編集者が、逆に作品づくりにおける障害物とならないために必要なのは、やはり「お互いを知る」ことではないでしょうか。 この人はどんなタイプで、何を大事にしているのか。 漫画家と同じく、編集者もタイプ別に分類できるようになれば、コミュニケーション上の対策も立てられるようになるのではないか。 今回は「担当編集ガチャ問題」の解決に向けた取り組みについて考えていきます!
絵の好みは人それぞれ。特に漫画は、いわゆる画力そのものより、好みかどうかで作品を選ぶ読者が多いのではないでしょうか。 だからこそ、自分の画風を好き・支持してくれる人たちに向けた作品づくりを意識していきましょう。 今回は、「せっかくの良い原作が、自分の作画のせいで売れないのでは?」という相談のお便りをもとに、作画におけるお悩みや意識の問題について考えます。
漫画のタイトルの付け方に、正解や法則はあるのか? 答えの出ないテーマに対し、過去作品の分類や傾向を踏まえつつ、個人的な見解を話し合う回になっています。 「すっぱい葡萄」のような認知的不協和、「鬼滅の刃」のような“の”を入れることの面白さ、ちょっとした違和感の残し方etc . 感覚派の皆さんも理論派の皆さんも、ぜひご自身のタイトルの付け方について教えてください!
どれだけ素晴らしい曲を書いたとしても、演奏がダメでは全くその良さが伝わりません。
漫画も同じで、良い作品には「中身」と「伝え方」の両方が求められます。
伝え方は技術の問題であり、それは鍛えるしかないのですが、重要なのは「作品の面白さ」と「自分(作者)のメッセージ」のどちらが伝わってないのかという部分。
もしメッセージが伝わらないと悩んでいるのであれば、「相手に伝えるための工夫が不足しているのかも?」と考えてみることが大切かもしれません。
というわけで今回は、感想をもらうことの難しさ・伝えることの難しさについて、改めて解説していきます!
自分とは全くタイプの異なる「○○キャラ」を描くために。
大切なのは、そのキャラがいかに○○であるかを証明することではなく、○○っぽいと感じさせる所作や佇まい、ディティールをしっかりと描き切ることです。
そのために必要となるのが「観察力」。
例えば自分のネームに行き詰まったとき「あだち充先生や高橋留美子先生なら、この先どう描くか?」と想像したら、意外とすぐに続きが思い浮かぶのではないでしょうか。
さらにわかりやすいのは、「細かすぎて伝わらないモノマネ」などで芸人さんが演じるキャラクターたち。
実際には存在しないにも関わらず、多くの人にとってリアルだと感じられるからこそ面白いネタになっています。
漫画に限らず、全てのクリエティブにおいて大切となるであろう「観察力」の重要性、そして参考になる作品について、今回はしっかり解説していきます!
【今回ごとうが推薦した漫画作品】 ▼「無能の鷹」(はんざき朝未 先生/講談社) https://comic-days.com/episode/10834108156680395853
漫画業界に限らずどんな業界においても、真摯にお互いを高め合う人たちもいれば、ただ腐ってるだけの人たちもいます。 だからこそ、「どこに属せるか」が本当に大事なるのではないでしょうか。 以前このラジオでは『漫画家になりたい!という熱意が保てない』というお悩みをいただきましたが、「自分には全く理解できない」という反響もあった一方、「実はものすごくよくわかる…」というお便りもたくさん寄せられました。 正解は人それぞれという難しいテーマですが、質問者の方は自らこの問いを立てたことで、「自分の一歩先をいく人たちの背中が欲しかったんだ」という素晴らしい気づきを得られたようです。 漫画家は個人の事業かもしれませんが、孤独ではないことが創作にとって良い影響を及ぼすのではないでしょうか。 今回はあらためて、お互い高め合っていくような、ただの仲良しこよしではなく「お前やるじゃないか」と認め合うような関係性の形成について、考えていきたいと思います。
漫画制作において3D素材やAIを活用することに対し、賛否両論あります。 例えば「時短」の観点では漫画家の強い味方になってくれる一方、出力結果をそのまま利用することで「作品の雰囲気」そのものを壊してしまうようなケースも。 結局どんなツールであっても「上手に活用すること」が大切なのではないでしょうか。 今回は、人生終盤の目標として「自分にしか書けない漫画を描きたい!」と再び筆をとったものの、実際に描き始めたら「漫画描くのって超大変だった!」ことを思い出したマンガスクリプトDr.ごとうが、おすすめの素材サイトやAIの活用方法について紹介していきます。 【今回ごとうが紹介したサイトやページ】 ●ACON(3D素材サイト): https://acon3d.com/ja ●Krita(ペイントソフト): https://krita.org/ja/ ●スケッチアップがあればウェブトゥーンの背景はもっときれいに!簡単に!(丹羽四つ葉(Niwa Yotsuba)さんのnote): https://note.com/yotsubaba/n/na66743545aad
たとえば、物語世界の設定として1つファンタジー的な要素が入っていて、主人公のほうでも1つ特殊能力的な設定が入っている場合。
設定同士の「主」と「従」がハッキリしていれば問題ないですが、全然別の「主」と「主」が入っていると、途端に難解になったりご都合主義になったりで物語の魅力を損ねてしまいそうです。
今回は漫画業界でよく言われる「漫画に嘘が2つ以上入ってるとダメ」説を検証し、どんな設定の組み立てなら嘘が2つ以上入っていても大丈夫なのかを考えます!
「読み切りなら良いアイデアがどんどん浮かぶが、連載となると難しい……」
長く楽しめる魅力をいかに上手く見出せるか。
そこが連載作品にとってのポイントであり、読み切り作品との最大の違いとなるでしょう。
そして、読み切り脳のままでは見つけにくい「ずっと叶わない(=追い続ける)主人公の願い」こそが、各雑誌のブランドがもっとも影響してくる部分になるのではないでしょうか。
作品を発表するだけならSNSなど多くの方法がある現代だからこそ、雑誌(アプリ含)連載作品にとって大切なのは何か、雑誌連載になると何が違うのかについて考えます!
<今回紹介させていただいた作品>
・『写して』(山本登先生) https://shonenjumpplus.com/episode/9324103623764425925
「自身の個性を活かした、自分にしか描けないキャラクターをつくろう」という“常識”の真逆のアドバイスをされたら、あなたはどうしますか? 『でんぢゃらすじーさん』の曽山先生が、先日Xに投稿されて話題となった問いになります。 https://twitter.com/soyamanga/status/1768777292472578116 「自分以外でも描ける」を意識しすぎると、自分が描く意味のようなものを見失ってしまうかもしれません。 でもキャラを描くうえでは、「自分のキャラの魅力、自分で思ってるほど伝わってない」という目線で見ることが、非常に大切となります。 というわけで今回は、「自分以外でも描けるとは、他人に伝播する、わかりやすい萌えポイントが入ってることではないか?」という仮説を紹介していきます!
職業としての漫画家の「神格性」や「憧れ」、あるいは「キラキラ度」といった価値は、昔と比べて確かに下がっているかもしれません。 だからこそ、漫画家を目指すかどうかで大切な判断軸となるのが、「漫画を描く目的」です。 読者に漫画を届けたい・伝えたいという気持ちが、自分の中にあるのかどうか。 読者がいてもいなくても変わらないというのであれば、描き続けるのは難しくなるかもしれません。でも、ちゃんと気持ちが読者のほうを向いてるのであれば、描き続けることもできるのかも。 今回は、読者から頂いたお便りをもとに、漫画家を目指し続けるかどうかという気持ちとの向き合い方・捉え方についてお話をさせていただきます。
キャラを立たせるためには、「主義」が重要です。 行動原理やこだわり、大事にしているものは何か。めちゃくちゃ追い込まれた時、すがるものは何か。そのキャラの芯にあるものこそが、主義になります。 もちろんキャラの性格は、少年漫画の主人公のように単純明快な場合もあれば、リアル志向の漫画の人物のように多面的で複雑な場合もあるでしょう。 でも、たとえストレートには伝わりにくくても、漫画家自身がキャラの主義を掴んでおけば、ブレの防止につながるはずです。 そんなわけで今回は、キャラの主義の持たせ方について考えます。
描き手として伝えたいテーマの中に「疑問」があるかどうか。それによって読者の対象年齢が変化するということにお気づきでしょうか? 例えば「友情は大切!」は伝わりやすいテーマなので少年誌向けですが、「友情は大切だが、真の友情とは何だろうか?」とするだけで、一気に青年誌向けになると思います。 今回はそんな「疑問」の型や効果・影響についてお話していきます。
『ドラゴンボール』が世界中の人から愛される理由、それは「世界観設定」と「悟空の魅力」にあったのではないでしょうか。 修行した分だけ強くなれるという、努力が裏切られることのない世界。仕事にも家庭にも、そして仲間にも縛られず、誰よりも自由に・好きなことをして生きている悟空。 「好きなことに夢中になれば、きっと夢は叶う」をもっとも体現したキャラクターこそが悟空であり、頑張れば夢は叶うというテーマが世界観のほうに設定されたことで、世界中のみんなが潜在的に願っていること・普遍的な欲求に応えられる作品となったのではないでしょうか。 そんなわけで今回は『ドラゴンボール』から得られた数多くの気づきや学びのうち、特に漫画を描くうえで大切かもしれない発見について、話してみました。
テキストから漫画を組み立てたいという人は多いと思います。
でも、漫画って文章化すると本当に頭に入ってこないですし、出力までに非常に時間のかかる作業になってしまいます。
そもそも漫画の良いところは、言葉にできない想いを、言葉にしないでそのまま絵で表現できること。だからこそ、パッと「絵のイメージ」が浮かぶ思考回路となるように、日頃からたくんさんの絵をみることが重要になります。
今回は漫画の組み立てにおける「絵」の重要性について、出力のためのトレーニング方法とあわせて解説していきます。
「この作品で誰かを黙らせたい!」「自分を見せつけたい!」という想いは、創作活動において強力なモチベーションとなる一方、病んで描けなくなってしまうリスクも抱えています。 とはいえ奉仕の気持ちだけで描き続けることは難しいですし、すごいものを見せつけたいという気持ち自体は、クリエイターなら当然持っている欲求です。 今回はそんな「屈服欲」ともいうべきモチベーションとの上手な付き合い方について、考えていきます。
「感情をしっかり描くと、展開が遅くなる。でも展開を早めようとすると、キャラの感情が急に変わったように見えてしまう。。。」 そんなお悩みを抱えている漫画家の方も多いのではないでしょうか。 でもその原因、実は感情の描き方ではなく、出来事の描き方のせいかもしれませんよ? 今回は、読者から「展開が遅い!」と言われず、でもしっかりと感情を描いていくために大切なのは、“出来事の描き方”ではないかというお話をさせていただきます。
描くのが好きというわけでも、言いたいことがあるわけでもない。 でも自分はとにかく漫画で表現をしたい・・・! そんなモチベーションで漫画を描く方も実は多いのではないでしょうか。 これまでずっと「漫画家は『萌え型』と『排出型』の2種類です!」と言い続けてきたマンガスクリプトDr.ですが、どうやらそれ以外にも『型』はあるのではないか・・・!? 視聴者からのお便りで気づいた新しい分類型である『構造型(仮称)』について、今回は議論していきたいと思います。
その重要性は理解していても、実際に描くとなると難しいのが「感情」です。 でも感情さえ描けるようになれば、あとはその感情が引き出された流れを描くことを繰り返すだけで、最高の漫画が完成するはずです。 というわけで今回は、感情の分類についての解説はもちろん、感情が描けるようになるための最強の練習方法について紹介していきます!
デジタルで作画をする漫画家なら、誰もが思い悩むであろう「どれで描くのがいいのか」問題。
相性や好みの問題も当然ありますが、今回はそれぞれの特性を紹介しながら「ネームを描くなら」の用途に限定し、コスパ等含めた総合的なNo.1を決定していきます。
※ネームはノートに鉛筆で描くのが最強説を提唱しつつ、「でも写植は入れたい・・・!」という気持ちから選出しています
プロットの時点では「これは最高傑作だ!」と思って描き始めたはずなのに、「これ、どこかで見たことあるな」「何が面白いんだろう……?」となってしまう方も多いはず。
出来事の連続ではなく「キャラクターの感情」が表現されていることが漫画の面白さだからこそ、漫画家は「演出」を意識しないといけません。
ストーリーはどうしても似たものが多くなりますが、感情は描いた人だけのもの。演出家としての自分も強く意識しましょう。
「漫画家として活躍したいならSNSは必須といわれますが、どうも苦手で困っています」というお悩みの声をいただきました。 安心してください。距離を置いたっていいですし、運用は誰かに全部お願いしたっていいんです。 何より大切なのは漫画家である皆さん自身が、安心して作品を描ける環境や心情にあることです。 そもそもSNSで大活躍してる人の大半は、みんなSNSが好きでやってる人ですから! 「ここならいけるぞ!」という自分の楽園を見つけるまでは、無理に思い悩むことなく描くことを優先させましょう。
「漫画を描くなら王道をしっかり読めと言われますが、王道の展開はどうも苦手で困っています」というお悩みの声をいただきました。
結論としては、苦手な漫画を無理に読む必要はありません!(笑)でも何が王道の「強さ」なのかは理解しておいたほうが、戦い方は確実に広がります。 では、王道漫画の定義とは? それは「主人公が自分のやりたいことが明確に決まっていて、そこに向かって突き進んでいく漫画」ではないでしょうか。 そんなわけで今回は、キャラが立っている・いない論にも通じる王道漫画の定義について語っていきます。
漫画原作者に向いているのは、ずばり「世の中の人にいま何がウケるか」を常に考えているような人です。
漫画家は自分の体験など「描きたい!」の気持ちを優先する人が多いですし、ニーズから描こうとすると「何を描けばいいんだろう?」となってしまいがち。
だからこそ、漫画原作者のニーズや出番も多くあるのです。(逆に、描きたいものがある漫画原作者志望の人は、漫画家を目指したほうがいいと思います) そんなわけで今回は、漫画家と漫画原作者に求められる能力の違い、漫画家が「良い原作」を求めている場合の探し方などを紹介していきます。
「4時間でマンガ描けるワークショップ」というイベントを開催し、124名の受講者の皆さんに一斉に8ページ漫画を描いてもらいました! すごいことですよね、これもうギネス認定されるのでは?! 作品も、どれも同じストーリーで描いたとは思えないものばかりで、皆さんやはり自分の「作風」を持ってるなぁと感じた次第でした。 ある意味主催者が一番楽しんでしまったイベントになりましたが、今回はその御礼と感謝をひたすら申し上げていきます。
マンガスクリプトDr.ごとうが主宰する「東京ネームタンク」が、2015年の開設以来9年目にして初の大幅改修を実現! 遊びじゃなく、人生賭けて漫画を描いてる皆さんの気持ちに応えられるような「真剣さ」が伝わるサイトになるよう関係者一同で取り組みました! クリニックっぽいデザインにこだわった理由について、じっくり紹介させていただきます。
サブキャラには、主人公の良い一面を引き出したり、物語全体の単調な感情の流れや空気を変えたりという重要な役割があります。 「なんのために出てるんだろ?」と感じるキャラもいるかもしれませんが、実は人気のある連載作品ほど、主人公とサブキャラの関係性はしっかり機能しています。 『NARUTO』や『ヒロアカ』は実は少女漫画に近い演出と登場人物設定の一方、『ONE PIECE』は浮気し放題の描き方だった!?など、今回は意外に語られることのない「サブキャラ論」をお届けします。
現代のギャグ漫画で大切なのは、ギャグそのものではなく「リアクション」だった…! ストーリー漫画と比べ、型化が難しいと思われがちなギャグ漫画ですが、「出来事があって感情を描く」ルールは不変! 漫才のツッコミのテンポで描いては速すぎる問題も含め、現代漫画におけるギャグの描き方理論をマンガスクリプトDr.が解説します!
自分の描いた作品がちゃんと届き、読んでくれた人の心を動かしたんだという実感を得ること。それが漫画家にとって一番のモチベーションになるのではないでしょうか。 アドバイスや批評ではなく、感想をもらう機会のシンプルな素晴らしさについて、あらためてマンガスクリプトDr.が語らせていただきます!
創造には想像が大切です。想像力の不足は、怒りやヘイトを生んでしまいます。 一方で漫画家は想像力が豊かすぎるがゆえ、頭の中だけで勝手に綺麗なストーリーを創りあげてしまい、現実を無意識に歪めて認識してしまう危険性も? そんな想像力の使い方と危うさについて考えます。
マンガスクリプトDr.ごとうが、自信を持って提供できる1day講座がついにオープン!
漫画家の皆様にぜひお伝えしたい、漫画の1ページ目・1コマ目に大切な要素とは!? いわゆる宣伝回ですが、講座でお伝えしたい一番大事な結論は、もうすでに今回で言い切っちゃってます!
・・・商売下手!!
SNSを見ていると、40代で既に老害化発言が多い漫画編集者アカウントが目に付く気がします。同世代の二人にとっても他人事ではありません。 それは職種ゆえの問題なのか、世代ゆえの問題なのか。誰もが発信できる時代だからこそ、無自覚な老害化についてじっくり考えます。
あと、マンガスクリプトDr.が元カノにブチギレされたエピソードも紹介します。
漫画の主人公には「粋」なキャラクターが多いですよね。
自分も粋な生き方がしたいなぁと憧れる一方で、じゃあ粋とは何かと言われると……? マンガスクリプトDr.の考える粋の答えとは!?
「師匠の背中を見て学べ!」的な世界の印象もありながら、歌舞伎やクラシックのように子どもの頃からやってなくても大丈夫なのが漫画家の世界。
描き始めた後からいくらでも学べるし、教わっちゃうことによるつまらなさも生まれる中、漫画を学ぶのは一体どの段階からが正解なのでしょうか?
「漫画は学んだりしないほうが、個性ある作品を描けるのでは?」という考えの方も多いと思います。 でも、ラーメン作りや料理で考えてみてください。既存の素材や製法の組み合わせだけで、無限にメニューができるはず。
ちなみにマンガスクリプトDr.のおすすめのラーメン屋は、新宿の「流川」さんです。おいしいですよ。
漫画家と違って、「とりあえず就職」しか方法がなさそうなのが、漫画編集者のなり方。 では、就職のための最初の一歩である「面接」を突破するためには、どんなことに注意すべきか? マンガスクリプトDr.ごとうの答えは、好きな作品リストを作っておくこと!
男性編集者からのアドバイスやフィードバックに対し、女性漫画家がどうも共感できないという場合、性差の影響はどれぐらいあるのでしょうか。
テンションが上がるシーンや共感ポイントのズレを埋めるには、どうすればいいのか。
「個人差や相性の問題なので」と結論づけるのは、まだ早い……!?
マンガスクリプトDr.ごとうが、より良い向き合い方を考えます。
2024年1月、人生で初めてコロナに感染してしまったマンガスクリプトDr.ごとう。
39.5度の高熱に苦しむ中で発見したのは、
・ドラゴンボールの悟空が持つ魅力の正体
・自分の心の中にあった「周囲から畏怖されたい感情」
そして、高額なコロナ治療薬に対する公費負担の大きさでした。
病み上がりでまだまだ本調子ではないマンガスクリプトDr.ごとうを、生暖かい目で見守ってください……!
皆さんはアイデアを出すのに詰まった時、どんな方法を試していますか?
今回は参考として、マンガスクリプトDr.ごとうが実際にやっている「視覚情報から脳を刺激する方法」をいくつかご紹介します。
・インプットする(映画とか!)
・一晩中歩く(だいたい6時間ぐらい!)
・電車に乗る(とにかく大回り乗車!)
あと、ひたすらアプリで焚き火動画みてるのもおすすめですよ。
「漫画とは孤独に描くものだ」という固定概念にとらわれすぎてませんか?
でも実際は、多様な読者を想像した「客観視力」を一人で持つことは難しいですし、SNSのようなオープンな場に投稿して「フラットな感想」を得ることは不可能に近い。
今回はマンガスクリプトDr.ごとうが、自身のアシスタント時代も振り返りながら、「漫画こそコミュニティで描くべき!」とおすすめする理由を解説します。
SNSに漫画を投稿し、いいねやリポストをフォロワーにお願いするのが当たり前の時代ですが、「全然伸びない!」という作者の不満の投稿を目にする機会も多くなってきました。
創作において応援の声は凄く大切ですが、求めすぎてる気もしないでもない……?
ちょうど良いバランスが難しい本テーマについて考えます。
「この人、すごいなー。絶対伸びるなー」と感じる漫画家さんには、以下2つの傾向があります。
1)とりあえず何でもやってみる 2)締切を守る
では、なぜこの2つが成長につながるのか。マンガスクリプトDr.ごとうが解説します!
「せっかくの年末年始休み、それっぽいことをしなければ・・・!」
そんな思いに駆られたマンガスクリプトDr.ごとうが、1月3日18時から約20時間程度だけ過ごした「冬休み」について雑談します。
(今回、ためになる要素はありません!)
創作活動における生成AI活用方法。それは「感情」を質問することだった・・・?!
「生成AIは感情が理解できない」とよく言われる中、トークスクリプトDr.ごとうがあえておすすめする理由とは。
編集者から作品へのアドバイスをもらう時、漫画家側はどういう受け止め方をするのがいいのか。
漫画家・編集者の両方の経験が豊富なマンガスクリプトDr.ごとうが、一番成長につながる方法を紹介します!
「目標達成のためにはKPIが大切」という話、会社ではよく聞きますよね。では漫画家にとってのKPIって一体なんでしょうか。
一応会社員としても働いてる2人が、どんなKPI設定なら漫画家の目標達成に有効になりそうかについて、考えてみました。
どうしてみんなアドバイスをしたがるのか、どうして直感的な感想をもらうのは難しいのか。その原因と結果を解説、そして最後に「大ヒット漫画家の共通点」を1つ紹介します!
先日うっかり爪が剥がれてしまったマンガスクリプトDr.ごとう。
得られたのは「痛いけど、拷問手段として秘密をしゃべってしまうほどの痛さでは無いな……?!」という気づきでした。
過去に猫にまぶたを切られた時の気づきも含め、漫画における「感情のリアルな描き方」について真面目に考えます。
作者が伝えたいメッセージと、漫画としての面白さはそもそも別のもの。
でも「ちょっと構造を工夫・変化させるだけで、読者も楽しめるポイントにもっていけるはず」と、マンガスクリプトDr.ごとうは考えます。
何かに取り組み始めたものの、だいたい3ヶ月ぐらいで終わってしまう……。
漫画家に限らず、全ての人がぶつかるであろう「継続の壁」のメカニズム・乗り越え方を、マンガスクリプトDr.ごとうが発見しました。
「素体」の選び方・学び方には、いろんな流派があって実は非常に難しい……!
というわけで、今回はマンガスクリプトDr.ごとうが、教材としておすすめの素体集を紹介していきます。
経験不足の落とし穴も
マンガが面白いと感じる基本の基本
先を気にならせるアイデアとは
2023年のマンガ教室をリサーチしてみた結果
企画に大事な入り口の話
ダサいと言われないために…!
コルクスタジオのキャッチコピーを決めるにあたり
ログラインのポイントを解説!
ヒーローに必要なもの
少しお休みしていましたが復活しました!
懐かしいって何?
置いてかれないために
クリフトンストレングスについて
何も確定しない
何を決めるといいのか。
鉄道の魅力、スイッチバックについても。
結果を出さないと肯定してもらえなかった人へ
時代はすごい速度で変わっていく
教えたくても教えられない。
勉強して偏差値を上げてきた人が社会で活躍できない理由。
意外な答えが…!
キャラクターを立てるのには何が必要なのか。と腸内洗浄の話。
これ売れるんですか?とか詰めてくる人に対して。
打ち合わせで、あなたのウリは何?って話になることありますよね。
『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』編集者らが教える、デジタル時代のマンガ家論
https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/learning/G2241104
なかなか結果が出ないと、達成感がなくなっていきます。創作のモチベーションを維持する考え方とは。
やらなくちゃいけないという思いがあるのに、手がつかない人へ
今日のWebToon:『外見至上主義』日本では類を見ない主人公の特徴とは?
今日のWEBTOON:『喧嘩独学』大ヒットには理由がある。見えてきたテーマとは。
今日のWebToon『喧嘩独学』軸の作りにくい物語をどう引きつけるか。
今日のWebToon『強化レベル99 木の棒』
読んでもらえるタイトルの新法則を紹介!
漫画家、イラストレーター、クリエイターなら絶対やった方がいいやつ。
フィクションとリアリティの関係性を知ろう。
クリエイターとして成功するために、失敗の経験をどう考えるのか。
コルクスタジオマンガ賞を開催して、マンガ賞でのポイントが判明しました。
休むのも大事だけど、また復帰しても問題は残る。挑むことと避けることはどう考えるといいのか。
編集経験なく編集長になっていたごとうがこれでいいのかなと振り返った日。
息が吸えなくなりますよ、とか言われます!創作には健康が何より大事!
消そうと思っても消しきれないところに個性は宿るよね、と言う話。
会社を辞めて、マンガを描いているという方に向けて、確実にマンガを仕事にするための方法をお話ししました。
あなたはどっち?プロとしての仕事をしようとするから伸びるのか、未熟なものとして一緒に伸びていくのか。
成長は他者が求めるものではないのかもしれない、という話。
いまクリエイターに必要なのは、ととのうこと!YouTubeのコメントにもお答えします!
En liten tjänst av I'm With Friends. Finns även på engelska.